Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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大正六年  

若き日の手記・獄中記(戸田城聖)

前後
28  姉さんに遇いたいのは山々だ。なんで一人の姉と縁を切りたいものか。しかし姉さんに、僕の事を心配させたくないし、人の世話にならないと言うのは僕の主義だ。僕は遇いたい姉さんに手紙を出さぬ。いな姉や兄と遇いたい。
 大いに今日の卸は見込みがある。小さく一部からやって行けば、何恐れる程の事がない。必ず自分の志望、商業をもって天下を料理するなんてことは何でもない。大いにもくろんでいる事があるんだ。
 別れの悲しみ、他日取り返して笑うべく奮闘するのみだ。なにくそ。
  (大正六年十二月十一日)
 ☆姉とは長姉のツネ。多感でデリケートな青年だった戸田は、愛情をおそれた。愛する、愛されることは、たとえ肉親でも拒否したかった。成功のために、志のために。これは手紙ではなく、手帳に日記風に書かれてある。
29  父上様より二十五円請求に任せて送付して下された。大いに謝す。その代わりこれが最後だ。戸田一家に迷惑を掛けぬ。最後だ。
 大正七年度よりは、大いに感ずるところを行なうのみだ。大いに自重して未来遠くの方我れ望むべし。いよいよ大人の仲間に入りたし。
 今日よりは稚魚となりてや海の辺をようやく卵より小魚となったばかり、大いに奮うぞ。奮うぞ。
   (大正六年十二月三十一日)
 ☆仙場病院で大みそかを過ごす。

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