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創価班、長城会第一回合同研修総会 現代に生きる「三国志」の精神

1986.11.2 「広布と人生を語る」第10巻

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28  生涯、青春の理想に生きよ
 どんな英傑でも、年齢や境遇の推移とともに、人間がもつ平凡な弱点に陥りやすい。晩年期にさしかかった曹操の姿を通して、こうした教訓を読みとることができる。
 「むかし青年時代、まだ宮門の一警手にすぎなかった頃の曹操は、胸いっぱいの志は燃えていても、地位は低く、身は貧しく、たまたま、同輩の者が、上官に媚びたり甘言につとめて、立身を計るのを見ると、(何たるさもしい男だろう)と、その心事をあわれみ、また部下の甘言をうけて、人の媚びを喜ぶ上官にはなおさら、侮蔑を感じ、その愚をわらい、その弊に唾棄したものであった。実に、かつての曹操は、そういう颯爽たる気概をもった青年だった」とある。
 諸君もまた、そうした理想に燃えている一人ひとりであろうと思う。
 しかし、悲しいことに五十代後半にさしかかった曹線は、かつての英傑の面影を失っていく。
 「ところが、近来の彼はどうだろう。赤壁の役の前、観月の船上でも、うたた自己の老齢をかぞえていたが、老来まったく青春時代の逆境に嘯いた姿はなく、ともすれば、耳に甘い側近のことばにうごく傾向がある。彼もいつか、むかしは侮蔑し、唾棄し、またその愚を笑った上官の地位になっていた」のである。
 われわれも、利己の心にとらわれ、広布の大理想への情熱の炎を消してしまえば、こうした姿に陥ってしまうであろう。こわいことである。
29  戸田先生は、晩年の曹操について、次のように言われた。
 「曹操は大成するにしたがって慢心を生じてきた。自分を諌めたり、反対意見を出す者を遠ざけたり、殺したりするようになってしまった」と。
 またこのことに関連して「若い時代に指導者の立場になったら、老人の意見を大事にしなければならぬ。逆に老人になってから指導者となるときは、必ず若い人の意見を聞いていかねばならない」と指導された。まったく私もそう思っている。
 本日は『三国志』を通して、何点かの所感を語らせていただいた。最後に諸君の活躍と成長を心より念願し、指導にかえさせていただきたい。
 『三国志』については、吉川英治著の小説『三国志』によった。

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