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日蓮大聖人・池田大作

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「5・3」記念勤行会 平和と文化の信心の結晶を

1986.4.30 「広布と人生を語る」第8巻

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3  戸田先生がつねづね志向しておられた広宣流布のあり方を、現代という時代の要請に即して申し上げたい。
 このことについて「田原坂」の歌にちなんでいえば、広布の展開にとって重要な点は、「右手に平和」「左手に文化」でなければならない。その「文化」と「平和」を築きゆく源泉となるものが、生命の一念、すなわち妙法への強き祈りの一念である。
 また、信心の一念を強くもちながら、「右手に生活」「左手に社会」の自覚で、社会に”生活即信心” の見事な実証を示していかねばならない。その、豊かな人間性と生命の躍動のなかに、仏法を理解させていく時代であると申し上げておきたい。
 文化とは、人間の、人間としての証の華であるといえる。
 過去における仏教文化の興隆についていえば、仏教発祥の地・インドにおいて、釈尊の仏法を根底として、アショーカ大王の時代、またカニシカ王の時代に文化の華を咲かせた。さらに、中国では天台大師の法華経の仏法が興隆し、隋・唐の文化が栄えた。
 日本では、伝教大師の時代に仏教根本の文化が多少とも興隆したといえる。いま皆さんは、日蓮大聖人の仏法を基調とした末法万年にわたる大文化の創造に、先駆をきっているのである。
4  大聖人の仏法は、因果倶時の大法である。その法理のうえから私たちの文化活動を照らしてみるとき、一人の信仰者として行学に励み、広布を展開していくその活動じたいが因となって、そこにそのまま文化の華を開いていく――ここに正法を根底とした文化創造の営みがあるといってよい。
 もちろん、大聖人以前の仏法にも因果律を説いている。だが、それまでは思想、哲学、宗教が成立し、それを土台として文化が築かれてきたといえよう。
 それに対して大聖人の、因果倶時の大法にあっては、信心即生活、生活即信心で、折伏・弘教に励みゆくとき、そこに生命の其の躍動、開花があり、そのみずみずしい生命が「因」となって、見事なる芸術、文化の「果」を生活、社会のなかに華と咲かせていくのである。生活を離れて文化の創造はない。両者はあくまでも同時並行の営みであり、一体である――これが文化の正しいあり方に関しての私見である。
5  ともあれ、音楽は人類共通の言葉であり、美しき生命の調べである。また総じて芸術は、人間が人間として生命と生命を共鳴させゆく精神の開花であり、人類普遍の崇高なる魂の発露である。
 私どもの広宣流布の運動も、正法を基調に、人類の心を舞台として、壮大に、また立体的にくり広げゆく”大文化運動”である。また”大平和運動”なのである。
 皆さま方は、その偉大なる先駆をきられた尊い方々である。ゆえに、どうか、その先駆者としての誇りを生涯、けっして失うことなく、「文化」と「平和」の走者としてのすばらしき一生を送っていただきたい。また芸術創造の豊かな一生であっていただきたい。そしてなにより、生涯にわたる強盛な信心で、悔いなき自己自身の一生を見事に飾っていただきたい。

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