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池田SGI会長にインタビュー 国際通信社IPSとIDN

2010.6.23 スピーチ(聖教新聞2010年上)

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7  市民社会の声で時代変革の波を
 ──包括的核実験禁止条約(CTBT)、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)、核兵器禁止条約といった点に関して、NPT再検討会議での約束が現実のものとなり、繰り返される言葉を拘束力ある約束にするために、市民社会は何をすべきであると思われますか。
 SGI会長 これまで何度も重要性が提起されながら、CTBTは96年に採択されたものの、いまだ発効できず、カットオフ条約にいたっては交渉開始にさえたどりついていない状況があります。
 しかし、すべての光明が潰えたわけではありません。
 事実、CTBTは未発効ながらも、核保有5カ国に加えて、インドやパキスタンが99年以降、核実験の一時停止を続けているほか、CTBT機関準備委員会による国際監視制度の整備が進められてきました。
 今回の再検討会議で近く批准することを表明したインドネシアに加え、もしアメリカの批准も実現することになれば、発効に必要な批准は7つの要件国を残すだけになります。
 また、カットオフ条約についても、交渉開始前から核保有5カ国が生産を停止しているのです。
8  ──これらの重要な条約を実現に導くためには、何が必要でしょうか。
 SGI会長 私は、世界の民衆の圧倒的な意思を結集し、各国の指導者に断固たる行動を迫る国際世論を力強く喚起する中で、もはや誰にも無視できない状況を現出させる以外にないと考えています。
 残念ながら、この2つの条約に対する関心は、軍縮に熱心なNGO(非政府組織)を除いて市民社会でそれほど広がりをみせなかった面がありました。
 しかし、人類の運命と未来にかかわる問題を各国の政策決定者だけに任せたままで良いのかと言えば、答えは断じて「否」です。
 対人地雷やクラスター爆弾の禁止条約を成立させる原動力は、民衆の素朴な常識に反する兵器の非人道性への憤りと、被害の拡大を阻止しなければならないとの危機感の広がりでありました。
 それと同じように、核兵器の脅威をなくすためには“CTBTやカットオフ条約が防波堤として欠かせない”との認識を市民社会の間で幅広く根づかせ、国際世論を押し上げる力に結晶させていく必要があります。
 今年の1月から3月にかけて、私どもSGIの7カ国の青年部と日本の学生部が「核兵器に関する意識調査」を行った時、回答者から「なぜこんな調査を行うのか?」といった声が多く寄せられたといいます。
 その背景には、“核兵器の問題は、自分たちとは遠くかけ離れたもの”との意識が、少なからず横たわっていることがうかがえます。
 とはいえ、まったく無関心なのではありません。核兵器の使用は「いかなる場合にも認めない」と回答した人が7割近くにのぼり、半数以上の青年が核兵器に関する議論の活発化によって「核廃絶に向けての動きが生まれると思う」と答えているのです。
 その意味でも鍵となるのは、CTBTやカットオフ条約や核兵器禁止条約の重要性を含め、核問題に関する認識や関心を市民社会の間で粘り強く喚起していくことです。それが、現実の重い壁を突き崩す力となっていくからです。
 それゆえ、私どもSGIも、2007年から展開している「核兵器廃絶への民衆行動の10年」の運動を通して、そのための努力をこれからも重ねていく所存です。
9  国際社会の土壌を粘り強く耕す
 ──「教育」の果たす役割については、どうお考えですか。
 SGI会長 今回のNPT再検討会議で、日本を含む42カ国が「軍縮・不拡散教育に関する共同声明」を発表しました。
 今後も、国連軍縮室などの国連の関連機関や、CTBT機関準備委員会などの関連条約機関をはじめ、こうした運動に熱心な国々、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)などの国際的な取り組みや、多くのNGOと協力しながら、私どもも「核兵器のない世界」に向けた国際社会の土壌を粘り強く耕していきたい。
 そして、青年を先頭に「平和を求める世界の民衆の大連帯」を築き上げる中で、その連帯の姿とパワーをもって、現実と理想との“ミッシングリンク(失われた環)”をつなぎ、CTBTの発効やカットオフ条約の成立はもとより、核兵器禁止条約の締結を目指していきたいと決意しております。

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