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第2総東京最高幹部協議会  

2008.4.5 スピーチ(聖教新聞2008年下)

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30  若き友に“精神の宝”を贈れ
 トルストイは、2歳になろうとする時、母を亡くし、さらに9歳になる前、父も失った。
 若くして、そうした深い悲しみを乗り越えた魂こそが、人類を照らし、励ます光を放っていくのである。
 父母を亡くしたトルストイを、父のごとく、母のごとく支えてくれたのが、美しく豊かな故郷トゥーラの大地であった。
 また、母に代わって、トルストイを育て、深い影響を与えた一人が、ヨールゴリスカヤという遠縁にあたる婦人であった。
 青春時代の試練のとき、彼女は、こう激励してくれた。
 「愛しいリョーバ(トルストイの名レフの愛称)よ、こういう嫌なことも、忍耐強く、逞しく耐えるのです。
 人生は、いつもバラ色の時ばかりではないのですから。勇気を失ってはいけません」
 温かく見守ってくれている婦人の存在が、どれほど若きトルストイを勇気づけたことか。私には、未来部の担当者の方々の姿と重なりあって迫ってくる。
 第2総東京は、未来部育成においても、模範を示している。
 若き友を大いに励まし、育て、伸ばしていこう!
 トルストイにとって、ヨールゴリスカヤは“心の美しさの手本”であった。彼女から“人々に尽くす献身の姿勢を学んだ”と、トルストイは感謝を込めて語っている。〈『復活!! トルストイ――生誕100年祝典号』昭和女子大学学園本部トルストイ室を参照〉
 言葉だけでなく、先輩の姿が、振る舞いが、生き方それ自体が、後輩の手本となる。
 そして、心の美しさこそ、最高に尊い。精神を育む糧こそが、最高の宝なのである。
 トルストイは喝破した。
 「外部の優秀さのみを誇る者は、精神の価値や、その高邁な意義を解さぬ人である。何故ならば、精神的の価値は、物的のそれとは比較にならぬ程高いからである」(小西増太郎訳『生きる道』桃山書林。現代表記に改めた)
 真心からの励ましの一言が、どれほどの精神の糧となるか。
 「善は他人の心に善を喚び起こし、たとえそれが外に見えずとも、確かにその効果を生ずる」(八杉貞利訳「訓育に関する諸考察」、『トルストイ全集』第20巻所収、岩波書店。現代表記に改めた)。
 反対に、心ない一言が、どれほど人の心を傷つけてしまうか。
 「一語は大事である。一閃の火が全村を焼き得る如く、一語から至大の不幸が生じ得る」(八杉貞利訳「修身問題に関する児童達との対話」、同)
 トルストイの人材育成についての言葉である。
 御聖訓には「わざわいは口より出でて身をやぶる・さいわいは心よりいでて我をかざる」と仰せである。
 いかなるときも、私たち創価家族は、温かく励ましあって前進していくことを忘れてはならない。
31  「常楽我浄」の生命の旅路を
 トルストイの生命観に――
 「生命は死によって滅びるものではなく、形を変えるだけである」(北御門二郎訳『文読む月日』ちくま文庫)
 「もし生が――幸福であるならば、生の欠くことのできない条件である死もまた幸福である」(小沼文彦編訳『ことばの日めくり』女子パウロ会)
 「他者を助け、できる限りのことを為したとの実感があれば、死さえも、苦しみではなく、歓喜となる」と。
 私が、ハーバード大学での2度目の講演(1993年)で論じた「生も歓喜、死も歓喜」という生死観とも響きあっている。
 この私の講演を基軸として、今、アメリカでは、最高峰の知性の先生方が考察を深めてくださっている。ともあれ、世界は、大仏法の哲理を志向している。
 この「常楽我浄」の生命の旅路を、さらに誇りも高く、ともどもに、明るく朗らかに、そして、勇敢に堂々と進みゆくことを決意しあって、私の記念のスピーチとしたい。ありがとう!

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