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創価教育代表者会議
2007.6.14 スピーチ(聖教新聞2007年上)
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教育・文化の力が平和の推進力
さて、東京富士美術館では、明年の創立25周年を目指し、現在の建物に連結する新館(地上3階・地下1階)の建設が順調に進んでいる。
いつもお世話になっている皆様方に、この席をお借りして心から御礼を申し上げたい。
世界の平和を実現するために、肝要なことは何か──。
このテーマをめぐって、かつて私は、アカデミー・フランセーズ会員である美術史家ルネ・ユイグ氏と語り合った。
東京富士美術館の発展に尽力してくださった、忘れ得ぬ宝の友である。
氏は鋭く論じた。
平和に到達するには、人間は動物性を超えて、より高い精神の次元へ向かわねばならない、と。
そして、こう語られた。
「あすの第一の仕事は、人間の本性に働きかけ、それを内面的ゆたかさへ導くことでなくてはならない」
その推進力こそ「文化の力」であり、「芸術の力」である。そしてまた「教育の力」である。
なかんずく、伸びゆく青春時代に、第一級の美の名品に触れることは、かけがえのない精神の滋養となる。
フランスの大芸術家ドラクロワは強調した。
「美しい行為、美しい作品というものは、魂のある種の能力、おそらくは最も高貴な能力にそのまま結び付くのだ」(高橋明也編訳『色彩の饗宴』二玄社)
八王子の天地に輝く、創価大学という「教育の大城」。そして東京富士美術館という「文化の名城」。その新しい黄金時代を、今こそ開いてまいりたい。
フランドル絵画の巨匠ルーベンスは、「私は、全世界を自分の祖国と見なす」と述べている。
この宣言を通して、ユイグ氏は訴えた。
──美術館とは、翻訳を必要とせぬ芸術という国際語を扱う場である。その正面には、「私は、全世界を自分の文化と見なす」と刻みつけるべきであろう、と。〈柳宗玄編著『世界の美術館ルーヴル美術館正』講談社の「序」から〉
わが東京富士美術館のモットーは「世界を語る美術館」である。各国と交流を広げ、全世界から絶大なる信頼が寄せられていることは、うれしい限りである。
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かつて、私が中国で、中日友好協会を訪れた折のことである。
応接室に入ると、見事な書画が飾られていた。
縦2メートル、横約4メートル。
見る者を圧倒する風格をたたえている。
右肩には、大文豪の
郭沫若
かく・まつじゃく
氏が揮毫された「
和平頌
わへいしょう
(=平和讃歌)」との画題が、ひときわ力強く、墨痕鮮やかに記されていた。
〈郭沫若氏は2002年に池田名誉会長に名誉教授称号を授与した中国科学技術大学の初代学長でもある〉
この「和平頌」は、中国の高名な14人の画家が共同制作した、国宝級とされる逸品である。
そこに込められた世界平和への願いとともに、私の胸に深く刻まれた。
1992年、東京富士美術館所蔵の「西洋絵画名作展」が北京で開かれた。文化の大恩ある中国に、せめてものご恩返しとなれば、との思いからであった。
その折、周恩来総理らの名通訳として名高い、
王效賢
おう・こうけん
副会長から、「『和平頌』のような貴重な書画が、たくさんあります。全部、飾り切れずに、しまってあるんです」とのお話をいただいた。
あの美しい大画面が、心に鮮やかに蘇り、私は即座に、「ぜひ、東京富士美術館で展覧会を」と提案したのである。
これが契機となって、94年4月、「和平頌」をはじめとする至宝50点を日本で一挙公開した「現代中国巨匠書画展」が実現したのであった。
〈「中国でも、これほどの作品群が一堂に会する展覧会はありません」など感嘆の声が多く寄せられた〉
もう13年前になる、東京富士美術館での展覧会の実現に対して、王副会長は、恐縮なことに、今もって折に触れて、私どもへの深い感謝を語ってくださっている。
先日も中国で王副会長とお会いした友から、そうしたうれしい報告をいただいた。
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文化の大交流を
郭沫若氏は述べている。
「文化交流の促進によって、必然に強化される全世界人民の大団結こそ人類の前途に無限の光明を約束している」(平野義太郎編訳『日本國民に訴える』三一書房)
文化の交流は、心と心の交流である。
これからも、私どもは「平和の光明」「友好の光明」を赫々と広げゆく、世界との「文化の大交流」を有意義に進めてまいりたい。
さらに、郭沫若氏は史劇に綴った。
「やろうとすれば方法は見つかる。路というものは人があるけばできるもの、あるこうとさえすれば路はおのずからひらける」(須田禎一訳『則天武后・筑』平凡社)
まったく、その通りだ。郭沫若氏は、こういう言葉も残している。
「『不義を行なう者は必ず
自
おのずか
ら
仆
たおれ
る』というのが、有史いらいの筋道である」同)
人間として、善と悪を身をもって教える。勇気をもって正す。これが教育者の責務である。
郭沫若氏は叫ばれた。
「いちばん大切なことは人民大衆と一体になることだ。人民大衆の喜びと苦しみとを体得し、人民大衆の幸福のために骨を折るのだ」(同)
これこそ、永遠に変わらざる創価の魂である。我らは「民衆立」の学府であるからだ。
どうか、鉄の団結で、創価教育の大城を、守り抜いていただきたい。きょうは、ありがとう!
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