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ロシア国立人文大学名誉博士号授与式での…  

2007.6.1 スピーチ(聖教新聞2007年上)

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11  「生も死も喜ばしいことです」
 晩年のトルストイは、モスクワの南方にあった領地(ヤースナヤ・ポリャーナ)に住み、執筆のほか、教育や社会奉仕の活動に励みました。
 また、「生死」について探究を深める中で、仏教の生死観を学び、大きな触発を得、共感を寄せています。
 宗教権力と戦った彼は、1901年、72歳の時に宗務院から一方的に破門を宣告された。しかし、トルストイは一つも動じませんでした。
 トルストイ万歳! トルストイは世界のトルストイだ!──ロシアの民衆、青年たちは叫んだ。それに呼応するように、世界の人々がトルストイを守りました。傲った権力は、逆に大きな非難を浴びたのです。
 1904年、75歳の時、日露戦争が勃発するや、トルストイは断固として戦争に反対しました。戦うべきではない!
 苦しむのは民衆ではないか!──と。
 晩年のトルストイは、国家や宗教を超えて、人類融合の象徴として世界から尊敬された。80歳の誕生日には、国内外の各層から盛大な祝福が寄せられました。
 トルストイは晩年、こう考察しています。
 「生きることが喜ばしく、死ぬことも喜ばしいのです」(除村吉太郎訳『トルストイ全集第21巻』岩波書店)
 私もハーバード大学の2度目の講演(1993年9月)で「生も歓喜、死も歓喜」という仏法の生死観を語りました。
 トルストイの思想は、仏法の哲学とも響き合っています。
12  幸福の軌道を!
 ともあれ、今、混迷を深めゆく世界にあって、私たちは、貴大学をはじめ、貴国との交わりを一段と広げてまいりたい。
 文化・教育の交流こそ最も大事です。世界の「勝利の道」を開くことになる。そして私たちは、生命の尊厳と人類の幸福の軌道を、揺るぎなく確立してまいりたい。
 なかんずく、21世紀の平和創造の大いなる力は女性です。どれだけ女性を大切にできるか。どれだけ女性の力を引き出せるかで、すべてが決まってくる。
 男性が威張る時代は終わりました。「女性の時代」です。
 男性のリーダーは、女性に対して心から感謝できる存在であっていただきたい。そして、女性が苦しんでいたら、自分が身代わりになろう──それくらいの心を持っていただきたい。
 ロシア国立人文大学には、壮麗な付属の美術館があります。その美術館にゆかりの女性詩人であるツヴェタエヴァは、母親をこう讃えました。
 ──母の成功の秘訣はいったい何か。それは、心の情熱である。そして何よりも、母のひるまぬ執念である。
 女性は、ひとたび関わったからには、すべてに勝利するという奇跡を必ずもたらすのだ──と。
 この言葉を、私は貴国の教育・芸術界、医学界で活躍される二人のご夫人(ヴォルコヴァ総長夫人、リャザノヴァ教授夫人)に謹んで捧げたいのです。
 そして、この6月10日に記念日(「婦人部の日」)を迎える、わが婦人部の皆様方にお贈りしたい。
13  試練を越えて栄光は輝く
 きょうは、私の親友である、国際経済史の大家・マンロー博士と再会することができ、本当にうれしい。
 博士は、一昨日、創価大学で素晴らしい講演をしてI光勝利を、私は心の底から、お祈り申し上げます。
 スパシーバ! まことに、ありがとうございました!

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