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南イリノイ大学名誉人文学博士号授与式  

2006.6.6 スピーチ(聖教新聞2006年下)

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7  青年と共に学べ
 現代社会の行き詰まりの根本要因は、どこにあるか。
 私が、トインビー博士をはじめ多くの識者と論じあい、深く一致した一点があります。
 それは、世の指導層が傲慢になり、学ぶことをやめて、自らの「人間革命」を放棄してしまったところに、社会の停滞の元凶があるという点でありました。
 学び続けているか。それとも学ぶことをやめてしまったか――この一点が、その人が本当に偉い人物か、それとも偽物かを分かつポイントです。
 傲慢な指導者のもとでは、これからの青年、これから学ぶ若者たちが、かわいそうです。
 その打開のためには、「青年とともに学ぶ」ことです。
 例えば大学の教員も、学生を上から見おろすようであってはならない。
 どんな学生も立派に育てていく――これが教員の責任です。こうした思いに立って、学生を励ましていただきたい。
 学生を愛せないようでは、教育者として失格です。青年と一緒に、人生を打開していこう。前へ前へと進もう――そういう人間性が光る教員であっていただきたい。
 そして、広く世界へ打って出て、生き生きと、「対話」「対話」の波を広げていくことです。そうであってこそ、新たな勝利の歴史を開くことができる。
 さらに、民衆のため、社会のため、未来のため、後輩のために、勇敢なる行動を貫いていくことです。
 この「学び」と「対話」と「行動」の道こそ、デューイ博士と牧口先生が圧迫や迫害にも屈せず、明確に示してくださった、平和への正道です。
 中国をこよなく愛したデューイ博士は、北京大学の哲学講義で訴えました。
 青年よ、学び抜け!
 新しい希望と勇気と誠実をもって、新しい社会の繁栄を築きゆけ!――と(永野芳夫訳・大浦猛編『デューイ一倫理・社会・教育 北京大学哲学講義』飯塚書房を参照)。
 北京大学といえば、私も講演を行った懐かしい場所です。学生たちが真剣な眼差しで、講演に耳を傾けてくれました。
 同大学から名誉教授の称号を授与していただいたことも、忘れられません。
8  教育の勝利が人類の勝利!
 私は、ここにおられるソロー協会のボスコ前会長と有意義な対話を重ね、うれしくも、対談集が発刊される運びとなっております。
 世界的に著名な大学者であられる博士と、私は、アメリカ・ルネサンスの思想に光を当ててきました。
 アメリカ・ルネサンスの新風を巻き起こし、後世の人々に大きな力を与えた、19世紀の哲人エマソンは、こう警鐘を鳴らしております。
 「不正に対する感覚が鈍ること――それは、知性が浅はかな証拠である」
 正義の心は、深き知性と一体であります。また、正義の心があってこそ、本当の知性です。
 時代は、ますます「正と邪」「善と悪」が入り乱れている。
 だからこそ、エマソンのごとく、デューイ博士のごとく、牧口先生のごとく、恐れなく、正義の声を断固として上げていかなければならない。私は、その先頭に立って戦っております。
 貴大学が、その名に冠する「イリノイ」という地名の語源には、一説には「優れた人」との意義があるともうかがっております。
 敬愛してやまぬ貴大学から、最優秀の逸材が、これからも限りなくアメリカに、全世界に巣立ちゆかれることを、私は心から願い、お祈り申し上げます。
 デューイ博士は喝破しました。
 「教育が進歩しなければ社会もまた進歩し得ない」(前掲『デューイ―倫理・社会・教育 北京大学哲学講義』)
 大変に重要な言葉です。
 また、牧口先生は叫びました。
 “教育の勝利こそ、人類の永遠の勝利である”と。
 この大いなる教育の進歩と勝利の大道を、共々に晴れ晴れと前進しゆくことを誓い合って、私の謝辞といたします。
 サンキュー・ベリー・マッチ!

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