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日蓮大聖人・池田大作

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第1回鳥取県幹部総会 後世に業績残せる人に

1973.9.17 「池田大作講演集」第6巻

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4  後継者を育成
 これに関連して、もう一つ提案しておきたいことがございます。それは、よき後継者を育てていただきたい、ということであります。いま申し上げましたように、自分が広布の人材として、どのような立派な仕事をしたとしても、それだけですべてとはいえません。その残した仕事を引き継いでくれる人がないと困るものであります。そうでないと、すべてが途中で終わってしまう。これほどむなしいことはない。
 後継者の有無――なにごとによらず、これほど大事な問題はありません。ですから私も、未来後継の青年をだれよりも大事にして守り、いつどこにあっても、全力をあげて応援しているわけであります。どうか皆さん方も、家庭においても、また職場にあっても、学会活動においても、つねに子供や後輩を大事にして、自分よりも、立派な人材に育つように心がけていただきたいと思うのでありますが、この点はいかがでありましょうか。(大拍手)
 仏法のうえからいっても、世法のうえにおいても、まず皆さんがた自身が、一個の人材となって、それ相応の業績をあげ、それを幾多の後継者が引き継ぎ、更に発展させ、それを更にまた次の世代の人材が伝持するというふうに積み重ねていくならば、広宣流布は着実に進展、構築されていくのであります。
 それと同時に、この山陰の郷土の経済開発も、歩調を合わせるように進展していくでありましょう。依正不二の原理に照らしても、それは明らかであります。どうか、このような諸点を心がけ、仲良く力を合わせた、日本一見事な、緑と海と平和と文化の山陰と自負できる郷土にしていただきたいことを、心よりお願い申し上げるしだいであります。(大拍手)
5  真のヒューマニズムとは
 ともあれ、現代は、社会というものが人間関係をそらぞらしく機能させている時代だといわれております。確かに大都会での人間関係は、機械的であって、あたたかな人間性がなくなってしまった。人間にとって、もっとも大事なものが欠けてしまったといっても過言ではありません。
 だが、鳥取のような、そしてまた島根のような地方にまいりますと、大都会にはみられない人間味が色濃くにじみでております。ほんとうにうらやましいと思う。皆さん方のなかには、東京のほうがいいと思う人がいるかもしれませんが、決してそうではないと、私が代表して訴えておきます。(笑い)ともかく、こうして生きていくうえにも不可欠の条件である人間味が、信心によって深くみがきあげられていくならば、そこから発散するヒューマニズムは、人をひきつけてやまない力となることは明瞭であります。そしてこれこそ、時代のもっとも大切な要求なのであります。
 西洋においては、ヒューマニズム、すなわち人間尊重の思想は、教育でつくられるものと考えるのだそうであります。
 これについて私は、二つの点を感ずるのであります。西洋の考え方も、一つの実際的なよい着眼ではある。人間というものは、厳しく教育されなければ、人間性が身につくものではないと、西洋の人は考えている。だからこそ、西洋の人は、教育に全力をあげて、立派な市民に育てようと努力してきている。それが西洋における人づくりであります。ゆえに、紳士と淑女を大事にするという社会習慣が定着しているわけであります。私もこういう習慣は、日本の社会でも見習っていくべきであるとも考える。
 だが、私が感じているもう一点は、真のヒューマニズムは、仏法の慈悲心、つまり、慈悲の心から発してこそ、ゆるぎなく身に具わるものだということであります。
 すなわち、生命の内奥から、本然的にわきでてくるところの人間性――これなくしては、なにものにもくじけない、力強い、そして生涯、永遠的なヒューマニズムはできあがるものではないと、私は思うのであります。
 物質文明がもたらした人間疎外、これは、はなはだ強力であって、すべてを妨害しております。いわんや一般社会からみても、たくさんの底知れぬ大きな妨害となっていることは、間違いないところであります。
 教育効果の力だけでは、もはやこの物質文明がもたらした人間疎外という大きな問題は、とうてい乗り越えがたい強力さをもっている。ゆえに、現代および将来のヒューマニズムは、どうしても仏法によって生命の内奥から顕現していく以外には絶対にない、と訴えておきたいのであります。(拍手)
 いま幸いにも、学会員である皆さま方は、着実にそれを実践しつつあります。これはじつに重大なる実践行動なのであります。願わくは、各人が、その力強い、生命の内奥からにじみでるあたたかさを、これからもますます発現して、この山陰をほんとうに住みよい郷土にして、日本の人々からうらやましい、山陰がうらやましい、といわれるような理想郷に仕上げていただきたいことを、心からお願いしたいのであります。(大拍手)
 おかげさまで、正本堂が完成しましてから、はや一年を迎えようとしております。十月には、また一連の慶祝記念行事を盛大に開催する予定になっておりますので、山陰の代表の方々も、元気いっぱいに参加していただきたい。私も心から皆さん方の参詣をお待ちするものであります。最後に、県下ご一同、皆々さま方のご健康とご多幸を心よりご祈念申し上げまして、私の話を終わらせていただきます。(大拍手)

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