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日蓮大聖人・池田大作

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指導にあたる場合の心構え  

「池田大作講演集」第1巻

前後
2  第二は、相手が何を求めているかをよく聞き、また敏感に察知しなければならないということです。病気で苦しんでいるのに、得意げに世界情勢の話をしたり、就職問題で悩んでいる人に病気の体験を訴えても通じません。(笑い)
 対話を通して、相手が求めていることをよく聞き、その焦点をはずさないで、道理正しく理解させていくことが大事なのです。これは、なにも学会の世界だけのことではありません。全ての社会、また人生に通ずる信心の原理なのです。商売するにあたっても、客が何を求めているかを知らねば、繁盛は望めないわけです。あらゆる社会、そして人間関係の大事なことは、ここにあると思います。
 故に、指導する場合、相手に発言させずに一方的にしやべるのではなく、相手が聞きたいことをよくわきまえてから指導するのが聡明な指導者です。御本尊に題目を唱え、我々の胸中にある仏界の生命をして、宇宙の妙法のリズムに合致させるのと同じく、結局、一切の解決の鍵は相手の胸中に秘められているのです。その鍵を引き出してあげることが指導の要諦といえましょう。
3  第三は、抽象的な指導はいけません。あくまで具体的でわかりやすく、確信をもったものでなければなりません。簡明であることは理想的ですが、抽象論では、相手の胸に響きません。具体的な問題を処理するのに際しては、特にこの点に気をつけていただきたい。
4  第四は、幹部の話の内容が、常に同じでは、聞く人をひきつけることはできません。いつも王仏冥合、第三文明、乾坤一擲、大法戦(笑い)ではつまらないでしょう。あの幹部は、いつも「冬は必ず春となる」しか知らない(笑い)などといわれるようでは惨めです。したがって、幹部は常に御書をひもとき、さまざまなことを勉強して、自らが成長していかねばなりません。
 きようの座談会には、御書のこの部分を解釈して、皆に全力をあげて教えてあげよう、というような真剣なさが人々を大きく動かしていくものです。更に、新聞やラジオ、テレビを通して、社会問題を自由自在に駆使していける指導者でなくてはなりません。
 テレビで評判のよい番組みのことを取り上げてもよいし、社会問題を解説して、底流にひそむ問題を話し合ってもよいと思います。女子部であれば、洋服の流行色ぐらい知っていたいし、壮年部や婦人部も、流行語ぐらい知らなければ、子供と話さえできなくなってしまいます。(笑い)時代の最先端を行くセンスを身につけている人は、なんといっても強いと思う。「一切法皆是れ仏法」の原理で、信心を根幹にすれば、一切のことを生き生きとした話題に変えていくことができるのです。
 新鮮な話題、功徳の体験ほど強いものはないのです。体験は自身の生命に厳然と刻んできた最高の教科書です。結局、体験は、自分の貴重な日記帳です。これは読まなくとも、自分でいくらでも訴えることができ、相手を感動させる事実の証明です。
 このように、一つの会合に出席するときでも、コツコツと真面目に研究していけば、成長への大きな節になっていくものです。

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