Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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4 平和運動に求められる要件  

「希望の選択」ディビッド・クリーガー(池田大作全集第110巻)

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5  NGOの連帯の成果
 池田 核兵器の違法性を国際司法裁判所に問う「世界・法廷運動(WCP)」や、「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)」といったように、最近の目覚ましい成果は、数多くのNGO(非政府組織)が連帯して初めて実現したものですね。
 クリーガー そのとおりです。二つの運動とともに、国際刑事裁判所の設立運動に対しても、連帯したNGOの力強い後押しが大きな促進力になりました。今後、核兵器廃絶のような真に重要な目標を達成するためには、こうしたネットワークによる推進が不可欠となるのは当然でしょう。
 また、世界各地の紛争に対しては、非暴力的手段による解決をめざす諸機関・諸団体のネットワークを形成してこそ、永続的な平和も実現できると思うのです。
 しかし仮に、「核兵器のない世界」と「戦争のない世界」をめざすネットワークができたとしても、それらは世界の民衆の支持によって、つねに強化されなくてはなりません。なぜなら一方で、こうした動きに対し反対する勢力が、世界にはおそらく存在し続けると思うからです。
 池田 やはり、持続的で幅広い連帯の確保が、平和運動のカギとなるわけですね。
 クリーガー ええ。他の人々や団体との交流から私が学んだ重要なことの一つは、「希望をいだき続けること」の大切さです。私たちが現状打破への行動を起こしても、どれほど寄与できるかはわかりません。
 しかし、一歩一歩確実に決然として目標に向かって行動し続けるかぎり、達成する可能性はあります。すでに私たちの前には、多くの成功例があります。挑戦したことのすべてに、私たち自身が成功しなくても、希望のメッセージをあたえることができる。
 そして、だれかが、そのメッセージに力を得て、達成への道を開いてくれる。私は、そのことを強く確信しています。
 平和で正義に適った世界をめざす自分の仕事に、私は大きな喜びを味わってきました。自分が必要であると思う現在の仕事に従事する機会をあたえられたことに、私は日々感謝しています。また活動を通し、若い人たちとふれあい、心が結ばれたと実感できることも、私の喜びです。
 そして核時代平和財団の創設に寄与できたことを、誇りに思っております。なぜなら、この財団は、平和と人間の尊厳に満ちた世界を実現するために、私一人の力よりもはるかに大きな可能性をもっているからです。
 私からも池田会長にうかがいたいのですが、これまで平和運動を続けてこられて、もっとも苦しかったことは何でしょうか。
 池田 毎日が苦難の連続でした。世間の無理解や心ない非難中傷も続きました。しかし、私には戸田第二代会長の弟子であるとの無上の誇りがありました。ですから、何があっても、すべてを乗り越えることができたのです。
 戸田会長は、「百年の大計、いな、何千年の平和の大計をたて、民衆万年の幸福を確立することが、創価学会の使命である」と、つねづね強調しておりました。
 弟子である私も、師と同じく「臨終只今」の決意で戦ってきました。
 もっとも苦しかったことは、私自身のことよりも、平和のためにともに立ち上がった多くの同志が、偏見にさらされ、筋違いの批判を受けることでした。
 そんな不当なあつかいを断じて許してはならないと、私はいっさいの矢面に立ち、人々の屋根となることを誓い、戦ってきたのです。苦しかったことも、つらかったことも、今となれば、すべて黄金の人生譜に変わりました。
6  人生の最大の喜びは師の構想の実現
 クリーガー 胸打たれる言葉です。会長の闘争とそのご献身は、まことにすばらしいと思います。会長は強靭な精神の持ち主です。それでは、もっとも幸福を感じる時は、どのような時ですか。
 池田 何といってもやはり、師の構想を実現した時であり、その実現のために、私とともに戦ってくれた方々が喜んでくれた時です。また、励ました友が苦難を乗り越え、幸福な人生を歩んでいる姿をみる時の喜びは、何ものにもかえがたいものがあります。
 戸田会長は、「平和」「文化」「教育」を軸に人類を一つに結びつけねばならないと訴え、そのための具体的な構想も温めていました。折々に語る師の言葉を、私は、一言も聞きもらさぬ思いで胸に刻み込んだものでした。逝去から、はや四十年余りが経ちますが、創価学園・創価大学の設立や、戸田記念国際平和研究所の設立など、師の構想はすべて実現しました。
 「弟子の道」の誠を尽くすことができたことは、私の最高の喜びです。また今、別の意味で幸福を感じるのは、信じ見守ってきた青年たちが成長し、二十一世紀の使命の舞台で縦横に活躍する姿に思いを馳せる時です。

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