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日蓮大聖人・池田大作

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2 原点――人生の大いなる転機  

「希望の選択」ディビッド・クリーガー(池田大作全集第110巻)

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6  「国家の時代」から「人類の時代」へ
 クリーガー 少々長くなりますが、こうです。
  地球の民は同意した。
  精神的美徳と肉体的幸福における進歩が、
  人類共通の目標であることを。
  普遍的な平和が、
  この目標を追求するための
  必須条件であることを。
  公正こそが、平和の必須条件であり、
  平和と公正は、
  ともに立つか、
  ともに倒れるかであることを。
  不正と戦争は分けることはできず、
  ともに国民国家間の
  秩序なき競争から生じることを。
  ゆえに国家の時代は終わり、
  人類の時代が始まらねばならないことを。
  この同意によって、諸国の政府は、
  各々の国家主権を
  公正なる一つの政府に律し、
  各々の武器をこの一つの政府に譲渡し、
  この憲法を世界共和国連邦の盟約
  並びに基本法として
  確立すると決定した。
 池田 豊かな「詩心」と「哲学」にあふれた、平和の宣言です。深く感銘しました。とくに、「国家の時代は終わり、人類の時代が始まらねばならない」という訴えには、二十一世紀への確固たる「ビジョン」があります。
7  行動なき理想は砂上の楼閣
 クリーガー こうして、ボーギーズ女史は、「民主公共機関研究所」とともに、私を強く感化しました。と申しましても、同研究所で私が学んだことが、すべて良いことだったわけではありません。研究所はあまりにも観念的すぎましたし、行動する意識がたりないと、私は感じました。変革は、理論だけでは不十分です。行動がともなわなくてはなりません。
 池田 まったく同感です。「行動」なくして、何も始まりません。いかに高邁な理想をならべても、「行動」がなければ砂上の楼閣にすぎません。
 クリーガー そのとおりです。じつは、研究員たちの間には、たえず言い争いがあったのです。彼らは、同じ目的を、団結して支えていけなかった。たがいにうまく立ちまわって有利な地位を得ようとする競争に、貴重な努力をかなり浪費することもありました。そしてついに創立者のロバート・ハッチンズ氏が亡くなると、研究所自体も間もなくなくなりました。
 しかし、こうしたことはあっても、女史とともに仕事をするなかで得た経験によって、私は勇気を得ることができ、視野を広げられました。私は女史の「海洋のための、海洋からの新世界秩序」という目標を求め続ける生き方に対して、深い尊敬の念をいだいています。
 他にも、師と呼べる方に、何人か出会いました。そこには、核時代平和財団を私とともに創立した三人の方々――ウォーリー・ドゥリュー氏、チャールズ・ジャミソン氏、フランク・ケリー氏が含まれます。三人は私よりも年配で、第二次世界大戦の兵役経験者です。
 彼らの世代の多くの人たちと違って、彼らは世界から核兵器をなくすため、国際法を強化するため、戦争のない世界をつくるための努力に、積極的に加わりました。三氏それぞれが、勇気と知恵を示され、私に助言と指導をあたえてくれました。たいへん助けられています。

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