Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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全地球的なアプローチ  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
5  もはやわれわれは、現在の全地球的危機の原因であるとともに、それらの相互作用がこの危機をさらに悪化させかねないさまざまな要素や現象を前にして、いまのような無知や無関心の状態にとどまっていてはなりません。これらの要素や現象を認識し査定し、監視できるようになることが必要なのです。しかもこれは、綿密であるとともに全体論的で全地球的で、遠く未来を見渡すアプローチによって、初めて達成できることです。もちろん、それ以外にも局地的・地域的な諸問題を緩和したり、その他の多種多様な緊急事態に対応するために、事実上世界のいたるところで、あらゆる局面にわたって幾千ものことが行われなければなりません。しかし、最も必要不可欠なことは、われわれ自身が全地球的レベルのどの辺に位置しているのか、また、現今の趨勢の推進力は果たしてわれわれをどこへ連れていくのかということを見極めることです。われわれの歩んでいる道がいかに誤っているか、また、そのもっているすべてと、われわれをすべてにわたって脅かしている危険がいかに重大であるかを明確に認識することによってのみ、進路の変更に必要な意思力やエネルギーを、初めて動員することができるのです。これによって、すぐれた総合的な展望と動機と理念が形成されてこそ初めて、数十億の雑多な人びとに、人類の新たな進路へ向けての発進に必要な危険と犠牲を甘受させることができるのです。
6  われわれがこの世界を、そしてわれわれ自身をこのように見つめるようになったとき、一つの奥深い文化的進化が始動することでしょう。そして、最終的に、主唱者であるわれわれ自身を。──つまり、人間の内なる混乱状態や人類のまずい業績を──改めて凝視せざるをえなくなる。ことでしょう。これまで厳しい自己分析を始めるのを渋ってきた人類は、この科学万能で大衆教育が盛んな黄金期にあって、人間自身の存続そのものをみすみす危難におとしいれてしまった原因を精査することに、ほとんど関心を示していなかったのです。

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