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日蓮大聖人・池田大作

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四、民主主義の進むべき道  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

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9  そして、さきにご指摘になったように、現代の世界には、さまざまな“民主主義”があり、なかには、実質的にみると、民主主義と名づけがたい場合もありますが、少なくとも、一部の人間が独断で重要な方針を決定し、民衆の大部分は、自らの決定によらない問題について、高い代償だけを払わされるということがあってはなりません。そこに民主主義の尊さがあると私は考えます。これは、民衆の一人ひとりがもつ、人間の尊厳性を守るかどうかという問題です。
 政治的決定や戦略の問題の中には、民主的な過程を踏んでいては間に合わないこともあります(むしろ、そのほうが多いといってよいでしょう)し、また、少数の専門家が判断したほうが誤りを犯さないですむ場合もありえます。そこで私は、問題は何に至上の価値をおく社会にしていくかであると思います。物質的豊かさや経済的・軍事的競争における勝利をすべてに優先する価値とするというのならば、民主主義を無視したほうがよいことも少なくないでしょう。しかし、もし人間の尊厳を至高の価値としていくのならば、あくまで民主的プロセスを踏むべきで、これを避けたり無視すること自体、人間の尊厳性への重大な侵害であると思うのです。なぜなら、人間の尊厳は、自らの人生・運命については、可能なかぎり──つまり自然的な力による場合を除いて──自らの意思で選択し、決定していくところにあると信ずるからです。
10  ペッチェイ まさに、あなたのお考えは正しいと思います。ただし、それが未来においていかなる基盤、いかなる方法・手段で実現できるかは、なお今後の課題でしょう。

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