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日蓮大聖人・池田大作

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二、未来のエネルギー源  

「21世紀への警鐘」アウレリオ・ペッチェイ(池田大作全集第4巻)

前後
6  池田 なによりもまず考えるべきことは、エネルギー資源の消費増大に、なんとか歯止めを加える必要があるということです。今日の先進諸国民は、労働や移動についてはなるべく自分の身体の筋力を使わないようにしながら、その一方で、運動不足を補うためにアスレチック・クラブに通い、機械的な体操道具を使って運動をしています。そのどちらにも、エネルギー資源を消費しているのです。
 たとえば、オフィス・ビル内での各階への移動に、数階までならエレベーターやエスカレーターを使わずに自分の脚を使えば、運動不足は解消できるでしょう。少しぐらいの距離なら自動車に乗るのをやめて歩くようにすれば、アスレチック・クラブへ通う必要などなくなるはずです。
 こうして、極力エネルギー資源を消費しないように工夫するとともに、つぎに工夫し開発すべきは太陽熱や風力、水力等のエネルギーです。つまり、一度消費すればなくなってしまう石油や石炭、原子力などでなく、自然の営みがもっているエネルギーの有効な利用なのです。この場合の欠陥は、安定性がないことや設備費が嵩むわりには少量のエネルギーしか得られないことなどでしょうが、知恵を絞って取り組めば、そうした欠陥もかなり補えるはずです。
7  ペッチェイ 十分な量の──したがって現在消費されているよりもいくらか多い──エネルギーを確保することが、近い将来、第一義の要請となるでしょう。これには、石油本位の経済から、できるだけ多種多様なエネルギー源を利用する経済へと移行するための、大陸ぐるみ、地方ぐるみ──理想としては地球ぐるみ──の計画が、必要とされます。その場合の基本方針は、可能なあらゆる形の省エネルギーということでなければならず、そのことはつまり、低エネルギー社会の諸要件に合致し、しかも質的に高度な生活をうながすような政策、技術、習慣、製品などを開発すべきことを意味しています。
 そこでの基本的な重要課題は、かいつまんで言えば、社会を変容させて、より少ないエネルギーでより多くのことができるようにすること、そして再生可能な天然資源、つまり太陽、地熱、海洋、風力、生物などから、可能なかぎり多くのエネルギーが生産できるようにすることです。
 これからも、まだかなり長い期間にわたって、われわれの全需要をこれらの代替エネルギー源で満たすことはできないでしょう。しかし、それらの代替物を漸次主要エネルギー源にしていくことが、われわれの主要方針であるべきです。そうした開発のための共同研究が進めば、それらのエネルギー源が、やがてはわれわれのエネルギー需要の大部分を満たす可能性をはらんでいることが、必ずや判明するでしょう。

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