Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

我が青春のゲーテ(下) 君よ正義の行動に生き抜け!

2007.7.14 随筆 人間世紀の光4(池田大作全集第138巻)

前後
6  「はでに光るものは、ほんの一時つづくだけです、真実なものは後世になってもほろびることはありません」(『ファウスト』手塚富雄訳、中央公論社)とは、ゲーテの言葉である。
 永遠の時の流れから見れば、人気や名声などは、一瞬の幻に過ぎない。
 地道な学会活動こそ、永劫に朽ちることなき、真実の生命の大光を放ち続けるのだ。
 ゲーテは、「いっペん俗世の宝を手に入れると、より高い精神の宝が幻影に見えてくる」(同前)と戒めた。
 権力の魔性に狂って、真の精神の宝を見失っていく人生は、あまりにも儚い。
 正しき師弟の道を踏み外した輩の無惨な末路は、皆様がご存じの通りだ。
 日興上人の「原殿御返事」には仰せである。
 「もとより、『日蓮大聖人に背く邪師らを捨てないことは、かえって、こちらの罪になる』というのが大聖人の法門であると、よくよく知っていかれるべきである」(編年体御書一七三四ページ、通解)
 「破邪顕正」に徹して、悪を断ち切っておかなければ、毒が後世に流れてしまう。
 仏法の師弟の世界は、峻厳である。ゆえに清浄無比であり、金剛不壊なのである。
7  ゲーテは、最晩年、自らの生涯を総括して、宣言した。
 「私の著作と私の生活の意味と意義は、純粋に人間的なものの勝利です」(『ゲーテ対話録』4、高橋義孝訳、白水社)
 なんと美事な、総仕上げの人生であったことか。
 ある日ある時、戸田先生は、私に言われた。
 「君は、ゲーテを超えて、書きまくれ! ゲーテ以上の膨大な全集を残してくれ給え」と。
 初代・牧口先生の全集も、第二代・戸田先生の全集も、私は、厳然と世に出した。
 現在、その後の研究も踏まえ、『牧口常三郎全集』十巻、『戸田城聖全集』九巻が集大成されている。
 そして、第三代である私の全集は、既に百巻が刊行された。今後、百五十巻となる予定であり、個人の全集としては、ゲーテをも超えて、世界最大級のものとなる。
 戸田先生の弟子として、師とのお約束を、ここにもう一つ果たすことができた。
 インドの詩聖タゴールは高らかに謳った。
 「偉大なる富も強大なる帝国も、やがては塵芥となるであろうが、精神の所産は不朽の価値を持っている」(『古の道』北昤吉訳、プラトン社)と。
 創価とは、不滅の精神の価値の創造である。
 この創価の師弟に生き抜く人生は、永遠に若々しい。
 ゲーテは、一生涯、創造の青春を生きた。
 「どうすれば、たえず若返ることができるか?」
 この問いに答えて、彼は自らの若さの秘訣を明かした。
 その詩の一節を、わが友に捧げたい。
 「君だってできる 偉大なものに 喜びを感じさえすれば
  偉大なものは つねに新鮮で 人を暖め生気づける」(「万能薬」高安国世訳、『ゲーテ全集』1所収、人文書院。引用・参照)

1
6