Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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「3・16」に弟子は立つ 広布後継は諸君に託す

2007.3.16 随筆 人間世紀の光4(池田大作全集第138巻)

前後
12  ダンテが『神曲』の執筆を始めたのは、一説では一三〇七年頃。今年で七百年となる。
 この『神曲』は、私の青春時代の座右の一書であった。
 その思い出を和歌に詠んで、青年たちに贈ったことがある。
  若き日に
    最初に読みし
      ダンテかな
    おお神曲の
      正義の戦よ
  
  若き日に
    難解の神曲
      あこがれて
    読みたる努力が
      桂冠詩人に
 この『神曲』は「師弟の旅」として描かれている。
 師匠は、ローマの大詩人ウェルギリウス。
 弟子は、若き詩人ダンテ。
 師が、苦悩の弟子を励まし、人生の正しき道へ導くのだ。
 その歴史に不滅の旅の途上、師匠ウェルギリウスが、繰り返し、弟子ダンテに語りかけたことは、「怖れるな!」という一点である。
 「さあ、私の歩みについて来給え」(前掲、野上訳)
 「なぜ君の心のうちに、かくも卑怯な怖れを宿す? なぜ君は大胆且つ自由とはならぬ?」(前掲、寿岳訳)
 「一歩も後退してはならない」「上へ上へとこの山を登るのだ」(前掲、野上訳)
 一方、弟子ダンテは、心から敬愛する師匠と共に歩める喜びを謳い上げた。
 「さあ行きましょう、二人とも心は一つです、あなたが先達、あなたが主君、あなたが師です」(前掲、平川訳)
 そして、師への尽きせぬ感謝を語っている。
 「先達が希望を与え、光となってくれたのだ」(同前)
 若き私の胸は大きく動いた。私の目には熱い涙がこぼれた。師への報恩こそ、人間性の神髄の道なのである。
13  私は、一生涯、戸田先生にお仕え申し上げた。
 私は、先生の構想を寸分も違わずに実現してきた。
 私の胸は、栄光の未来と勝利の輝きで大満足である。
 この人生、何一つ、悔いはない。
 師に仕えるありがたさ──一切の勝利の根源は、この一点の法則にあるからだ。
 ダンテは、永遠なる「師弟の誓い」を書き留めている。
 「空しく時をすごすな」(前掲、寿岳訳)
 「必ず我等は戦に勝つべきである」(中山昌樹訳新生堂版『ダンテ全集』1、日本医学センター)

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