Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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東欧・ロシアに芽吹く妙法の種  

2005.2.18 随筆 人間世紀の光2(池田大作全集第136巻)

前後
3  チェコの哲人政治家マサリクは語っている。「宗教は信頼と希望であり、希望は宗教の本質だからである」(カレル・チャペック『マサリクとの対話』石川達夫訳、成文社)
 私の胸も、この通りであった。
 歳月は巡り一九八九年――あの″ベルリンの壁″が崩れ去った。私が壁の前に立ってから二十八年後のことだ。そして、堰を切ったかのように、「東欧革命」と呼ばれる民主化の波が広がった。
 そのなかで、長らく宗教が抑圧されてきたこの地域でも、信教の自由が保障され、妙法の種が一つ、また一つと芽吹いていったのである。人間主義の鼓動が高まる一九九二年の一月、チェコスロバキアとポーランドに、旧東欧で最初の支部が誕生した。
 私の初訪ソから二十周年の年には、ロシアでも、SGI組織が本格的に出発した。
 さらに旧ユーゴスラビアの解体後、内戦に苦しんだバルカン半島の国々でも、地涌の友は立ち上がり、セルビアにも支部が生まれた。
 そして、歴史に残る第一回「東欧総会」が行われたのは、二〇〇一年の春であった。この席上、スロベニア、ハンガリー、ブルガリアにも支部が結成された。
 昨年、セルビア・モンテネグロでは「ベオグラード平和総会」を開催。周辺の十七カ国のメンバーが集い、平和の建設へ、大前進を誓いあっためである。
 この大発展のカギは何か? それは、徹して「一人」を大切にしてきたことだ。一人ひとりが「人間革命」をしていったからである。
 「ひとりひとりの個人の運命を改善することなくしては、よりよき社会の建設は不可能」(『自伝』木村彰一訳、『世界ノンフィクション全集』8所収、筑摩書房)とは、ポーランドの生んだ大科学者・キュリー夫人の有名な洞察であった。
 かつて全体主義の抑圧のもとで、「一人」が軽んじられ、人間の心が置き去りにされてきた苦渋が長く続いた。だからこそ、「皆、宝塔」「皆、仏」と説いている、最極の人間尊敬の仏法が輝いていくのは、当然な法則だ。誰もが、その人でなければ果たせぬ使命がある。誰もが、この世で幸福と勝利を勝ち取る権利があるからだ。
 あまりにも厳しい社会情勢のなかにあって、わがSGIの同志は、常に明るく、常に前進していった。その姿こそ、「苦難に負けるな!」と、祖国を励ます希望の太陽となっていったことは間違いないのだ。
4  ニ十年近く前、ルーマニアの友人である詩人が、未来を憂えて語ってくれた。
 「青年の心が冷え切っているのです」
 その真剣な声は、今でも私の耳朶を離れない。地球の未来は、青年の熱と力にかかっている。これは、絶対の歴史の法則だ。
 ゆえにSGIは、永遠に「青年を励ます団体」「青年を育成する団体」として、若々しく発展しているのだ。東欧でも、勇敢なる青年たちの活躍が始まっている。セルビア・モンテネグロでも、「白蓮グループ」が生き生きと、美しい笑顔で頑張っている。本当に嬉しいことだ。
 いつも、広宣流布の会合の万全の運営に携わってくれる白蓮グループは、今や世界中で活躍していることになる。この世界的な若き乙女たちの大連帯の中軸こそ、日本の白蓮グループの皆様であることは、当然である。
5  今、白蓮グループの入卒式が、全国各地で、意気も高らかに開催されている。
 白蓮グループは、この一年で、千三百人を遥かに超える弘教を推進し、皆が明るくたくましく、幸福に輝き、希望に燃えて成長した。新出発のメンバーも、春風の如く、名優の如く走り始めた。そのはつらつたる姿に感動しない人は、一人もいないようだ。
 その淵源は、創価の歴史に輝く、「3・16」を中心とした諸行事の折、自発的に清掃に取り組んでくれた、健気な女子部の行動にあった。その後、私が「白蓮グループ」と命名させていただいたことは、ご存じの通りだ。
 汗を流しながらへ疲労困憊するまで総本山の清掃をしてくださった、あまりにも美しく尊い姿を、坊主どもは、せせら笑いながら眺め、ご苦労様の一言も言わなかった。ちゃらかすような不逞な輩もいたようだ。ともあれ、白蓮グループの清く潔癖な、美しき眼差しは、女性蔑視の宗門の体質を鋭く見破っていたのである。
 泥水にあって、汚れに染まらぬ″白蓮華″そのものの清き生命こそ、偉大な「地涌の菩薩」の生命である。地涌の菩薩とは、真の師弟不二の闘士のことだ。
 民衆のため、人びとのために尽くし、真剣に戦う心が不二なのである。これ以上に清らかなものはない。美しきものはない。強きものはないのだ。華やかに見えても、目標もなく享楽に流されたり、孤独に悶々とする人たちの多いなかで、わが女子部の、また、わが白蓮グループのスクラムが、どれほど尊いことか!
 仏天が、貴女たちを護らないはずがない。日蓮大聖人が貴女たちを賞讃し、護ってくださらないはずがない。貴女たちの成長が、広宣流布の前進である。学会は、そしてSGIは、女子部の「幸福の大道」を永遠に開いていくのだ――これが、私たち幹部の責任でもあ。
6  ともあれ、SGIの新時代の夜明けが到来したのだ。日本の友よ、そして世界の尊き同志よ!
 眼前にそびえる、広宣流布の長く続く大きな山を、一つまた一つと登りゆこうではないか! 自分自身の勝利のために! 子孫末代の幸福の血脈のために!そして、わが創価の大勝利を、永遠の歴史に残すために!
 世界は、決して遠くにあるのではない。自分の足元にあるのだ。
 ゆえに、今、ここで勝つことが勝利だ。
 ゆえに、今日勝つことが、永遠の勝利につながるのだ。
 わが青春に、悔いがあってはならない。
 わが人生に、敗北があっては断じてならない。
 この一生に、絶対の崩れざる「幸福の城」を築かねばならない。
 幸福は、戦い抜いた人の心にあるのだ。

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