Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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人間主義の都 世界の八王子  

2004.5.20 随筆 人間世紀の光1(池田大作全集第135巻)

前後
6  八王子支部の結成二十周年の大会が行われた一九八一年(昭和五十六年)、私は、寒くも明るい年頭から、慈折広布のために、数人の友、そして、わが妻と共に、北米へ飛んだ。
 ついで、その年の五月には、共産圏のソ連、東ヨーロッパヘ、また西ヨーロッパヘ、そして再び北米へと、創価の陣頭に立って翔けていったのである。
 平和と勝利の拡大という広宣流布の道を開く、世界一周の旅は連続二カ月に及んだ。
 その間、私の海外での戦いに相呼応して、日本の同志は猛然と戦ってくれた。
 なかでも、わが八王子の英雄たちは、「断じて壁を破るのだ!」と、自分自身の未曾有の挑戦、未曾有の奮闘、未曾有の拡大の歴史を、一日、また一日と、決然と積み上げていったのだ! 寄せ来る苦難の波を、決然と打ち返し、乗り越えながら!
 その勇猛果敢なる地涌の菩薩の大活躍の様子については、旅の先々で報告を受け、胸が高鳴るのを覚えたのであった。
 どちらかといえば弱い体である私は、長旅で疲労がたまってきても、わが八王子の弟子たちが真剣に頑張り抜いていることを知って、わが闘魂を、さらに熱く、さらに強く燃え上がらせた。
 そして旅も終わりを迎えた七月、私は、ロサンゼルス近郊で、八王子の友の大勝利の報を聞いたのだ! 大東京は美事に勝ったのである。
 喜び勇んで勝利の帰国を果たした後、七月十九日、私は念願叶って、喜々として使命に生きゆく八王子の友との大会に駆けつけたのだ。
 人生の極致を思わせる劇であった。人生の最極のドラマの出会いであった。
 そこには、久遠よりの血脈を分け合った同志の涙があり、汗があった。
 私が会場に到着すると、この懐かしき″八王子家族″は、皆が皆、険難のアルプスを越えた常勝将軍のような、最高の笑顔で迎えてくれたのであった。
 私は嬉しかった。本当に嬉しかった。
 勝って見える師弟ほど深く幸福なものはない。
 勝つことは幸福だ!
 勝つことは喜びだ!
 そして、わが八王子の輝く大勝利は、師子たちが「新世紀の本陣は、この八王子なり」と自負し決意しゆく、偉大なる夜明けとなったのである。
7  十年前(一九九四年)の秋十一月、学会の創立六十四周年を祝う集会を、私は八王子の同志らと共に迎えた。
 この時、私は、牧口先生の言葉を贈った。
 「信は組織の中核にして、誠は組織の推進力である」
 「信」と「誠」――ここに我らの「団結革命」の要諦があるからだ。
 学会は、「信心の組織」である。いかなる役職、肩書、社会的地位があろうと、信心においては、一切が平等だ。
 この一点をはき違え、「自分は幹部だから」「社会的な立場が高いから」「私は有名校を出たから」と、他の同志と心を一つに合わせていかないならば、異体同心の組織は絶対にできない。それは、仏の教訓に背く輩となるからだ。
 戸田先生も、″そういう連中は遠慮なく叩き出せ″と、たびたび厳しく叫ばれた。
 私も全くその通りだと思う昨今である。
 団結とは「心を一つに合わせる」戦だ。そのためには、心の奥底に潜む特権意識を一掃することだ。「信心の成長」という同じ目的に向かって進むことだ。
 役職でも、立場でもない。人間として「誠実」に徹することが第一義である。
 大聖人が「教主釈尊の出世の本懐は人の振舞」と仰せの通りに、最高の人間性の世界が、学会の世界でなければならない。
 学会の使命は、広宣流布にある。ゆえに、あらゆる非難や中傷を浴びながら、懸命に広布に戦う庶民が、一番、偉いのだ。一番、大聖人の御賞讃を受ける人なのだ。
 今までは、八王子からは、裏切り者、不知恩の者は出なかった。
 戸田先生は、「不知恩の者は畜生である。絶対に許すな! 臆病者、卑劣な者、裏切り者は去っていけ!」と叫ばれた。
 この遺言通りの八王子の伝統を、私は一段と厳守していく決心である。
 戦う一人を徹して守れ!
 そこから、「異体同心」の前進が始まるのだ。
 私は、八王子の友を讃え、一首を詠んだ。
  鋼鉄の
    心と心を
      結びたる
    佛の軍勢
      日本一かな
 八王子市の人口は、現在、約五十三万人。創価大学が開学した昭和四十六年に約二十五万人であり、実に二倍以上に発展している。
 そして、八王子には、創価大学をはじめ、二十一の大学・短大等があり、十一万人もの学生が通っている。わが英知の創価学会・男女学生部の皆さんも、各大学のキャンパスで真剣に学び、正義と勇気の対話に励んでいる。
 まさに八王子は、若々しき「学問の都」であり、「学生の街」であり、未来に光り輝く「青年の街」である。
 ちょうど十年前、私はイギリス・グラスゴー大学から、名誉博士号を頂戴した。その荘厳なる大儀式は、今もって忘れることはできない。
 グラスゴー大学は、経済学の父といわれたアダム・スミス、そして蒸気機関の開発者であるジェームス・ワットらを輩出した。実学の気風あふれるグラスゴーの都は、近代の夜明けを開いた「産業革命」の電源地となった。
 そうだ。″わが街″にも、新時代を創る力がある!
 その八王子こそ、新たな「精神革命」の新天地だ。
 おお、八王子!
 正義の革命児である、無数の王子たち、そして王女たちが八方に乱舞する偉大な天地よ!
 八王子の君たちよ!
 私と共に戦おう!
 そして、断じて勝とう!
 終わりに、私は、南米の英雄ボリバルの師子吼を皆様に贈りたい。
 「諸君は、天が人間に託した最大の偉業を完成しようとしている」(神代修『シモン・ボリーバル』行路社)

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