Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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「健康な人生」への指標 ポーリング博士

随筆 世界交友録Ⅰ Ⅱ(前半)(池田大作全集第122巻)

前後
4  仏法の世界観に近づく現代宇宙論
 その論議はともかく、海外の宇宙科学者と語ってきた私の印象は、どなたも古来の哲学的・宗教的問いに、科学がどう答え得るのかを考え続けておられるということである。
 たとえば「世界の始まりとは何か」「宇宙に終わりはあるのか」「宇宙は有限か無限か」「宇宙を生成させた根本原因は何か」「人間は宇宙の中で、どういう位置を占めているのか」──。
 この点、わが国では多くの場合、科学は次々と目新しい発見をもたらすものというイメージのみが強いのではないだろうか。
 仏法で説く空の概念、宇宙の階層構造、天体から原子まで万物の成住壊空(生成・安定・壊滅・次の生成までの潜在状態)のリズム──。「現代の宇宙論の方向性は、仏教の世界観にきわめて接近しています。この興味深い事実を知ることが現代という時代を正しく理解することに通じます」(ウイックラマシンゲ博士)
 「宇宙人──他の天体に知的生命体はいるのか?」。これに対しても、圧倒的に肯定的意見が多かった。仏法でも全宇宙に知的生命の国土が遍満していると説く。
 ベストセラー『コスモス』などで著名なカール・セーガン博士ご夫妻とお会いしたとき、夫人が紹介してくださった。博士が推進した無人宇宙探査機パイオニア10号は、地球の実情を知らせる「宇宙人へのメッセージ」のレコードに、彼方の中性子星(パルサー)の電波も録音してあった。「そのパルサlの音は、私の心臓の鼓動を記録したものと驚くほど似ていました」と。大宇宙と小宇宙との一体性を示唆されるかのような口調であった。
5  日本でも九四年、初の純国産大型ロケットの打ち上げに成功し、本格的な宇宙時代に入ったと言われる。島国根性と批判される小さな「閉ざされた意識」を打ち破る好機にしたいものである。
 宇宙は大きい。少なくとも、二十一世紀に生きる次の世代の人々は、心開かれた「地球人」として、天空の荘厳なパノラマを仰ぎ、星と語り、胸中に大宇宙との交響の曲を奏でるような、広々とした人生を生きてほしいと私は願っている。
 (一九九四年四月十日「週刊読売」掲載)

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