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第32回「SGIの日」記念提言 「生命の変革 地球平和への道標」

2007.1.26 提言・講演・論文 (池田大作全集第150巻)

前後
29  第2は、「東アジア平和大学院」の設置です。
 ヨーロッパにあって、各分野で統合の牽引力となって活躍している人々を育てる中心拠点となってきたのが、戦後まもなく創設された「欧州大学院大学」でした。
 そこでは半世紀以上にわたり、国家の狭い枠を超えてEUを担う“欧州人”を育てる教育が続けられてきました。東アジアにおいても、将来の共同体建設を見据えて、今の時期から人材づくりのための教育機関を設置しておくべきではないでしょうか。
 そして開設の暁には、カリキュラムを地域的な内容に限定するのではなく、日本に本部がある国連大学などとも連携しながら、国連を軸にしたグローバル・ガバナンス(地球社会の運営)を実現させるための方途について探究していくべきだと考えます。
 以上、日中関係などを中心に、アジアに永続的な平和を確立していくための提案を行わせていただきました。
 アジアに限らず、21世紀の地球平和を展望する時、常に念頭に置くべきは、不戦の潮流を生み出す“目覚めた民衆の連帯”をいかに築き上げていくかという点であります。
 昨年8月、私は国連のアンワルル・チョウドリ事務次長とお会いしました。席上、事務次長が語った「民衆が立ち上がってこそ、この世界を、よりよき人間の世界へと変革していける」との言葉は、私の年来の信念と深く共鳴するものでした。
 SGIが世界190カ国・地域で広げている「人間主義」の運動の眼目は、民衆自身の力で、地球上から悲惨の二字をなくし、すべての人々の平和と幸福を勝ち取ることにあるからです。
 今後も、その誇りと確信を胸に、世界の志を同じくする人々とスクラムを組みながら、21世紀の世界に「平和の文化」を広げ、対話による相互理解で人間の尊厳をともに輝かせていく「対話の文明」の建設に向け、挑戦を重ねていく所存であります。
30  語句の解説
 注1 三毒
 仏法で説かれる三つの煩悩のこと。貪は「度を越えた、激しい欲望」を、瞋は「激しい怒りや憎しみ」を、癡は「生命の法理に暗いこと」を指す。仏法では、こうした生命の濁りが、人間に苦しみや不幸をもたらすだけでなく、経済の混乱、戦乱の頻発、疫病の流行など社会への災いを生む原因ともなると説いている。
 注2 十界本有
 悟りの境界である仏界と、凡夫の九種類の迷いの境界である九界が元来、ともに具わっていると説いた仏法の深義。法華経では、十界のそれぞれが固定的で別々の世界に存在するのではなく、本来、一個の生命に具わるものであることを明らかにし、地獄の苦しみの生命や、修羅にみる勝他の生命なども自ら統御し、変革できるとの法理を示した。
 注3 物神崇拝
 商品・貨幣・資本といった「物」を、あたかも固有の神秘力をもつものであるかのように崇拝すること。マルクスの『資本論』の記述に由来した言葉で、「物」がひとり歩きを始め、逆に「人間」を支配するようにみえる転倒的現象を指す。商品経済においては避けることのできない現象とされている。
 注4 大量破壊兵器委員会
 ダナパラ国連事務次長(当時)の提案を受け、スウェーデン政府が支援し、2003年12月にブリクス委員長の下、結成された独立委員会。アメリカのペリー元国防長官をはじめ、世界の軍縮・不拡散問題の専門家14人で構成される。昨年3月まで10回にわたって会議を行い、昨年6月、成果を報告書「恐怖の兵器」にまとめ発表した。
 注5 第6条フォーラム
 NPT再検討会議の決裂という事態を受け、国際NGO「中堅国家構想」のダグラス・ロウチ議長が、核廃絶への道を探る試みとして2005年8月に提唱した構想。第1回のフォーラムは同年10月、28カ国の政府代表が参加して国連本部で開催。昨年9月にはカナダで第3回のフォーラムが行われた。
 注6 コントロール・アームズ
 オックスファム・インターナショナル、アムネスティ・インターナショナル、国際小型武器行動ネットワークを中心に進められてきた通常兵器の国際移転の規制を求める運動。世界150カ国以上の100万人を超える人々の賛同を得る中、日本を含む116カ国が決議を共同提案。先月、国連総会において圧倒的多数で決議が採択された。

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