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第28回「SGIの日」記念提言 「時代精神の波 世界精神の光」

2003.1.26 提言・講演・論文 (池田大作全集第150巻)

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22  持続可能な開発と「教育の10年」
 近年は、こうした"読み書き"などの基礎的能力の習得を主体とした識字教育に加え、「平和の文化」を育み、自然環境との共生を図る"新しい人間教育"の必要性が叫ばれています。
 私どもSGIでは、その観点から、環境開発サミットに向けて、「持続可能な開発のための教育の10年」の制定を提案しました。
 持続可能な地球社会を築くための教育の推進を目指したこの提案は、サミットの実施計画に盛り込まれました。そして先月には、国連総会で決議され、2005年からのスタートが正式に決定しております。
 環境教育は、平和教育、人権教育と並び、新しい人間教育の柱をなすものであり、すべての人々が自らの力で幸福を勝ち取り、未来を切り開く力を養う教育の普及こそ、「希望の21世紀」の基盤となるものです。
 これまでSGIでは、92年の地球サミットの関連行事として開催した「環境と開発展」を各地で巡回するなど、環境問題への意識啓発のための活動に力を注いできました。今後とも、各国で環境教育をさまざまな形で推進していきたい。
 識字と環境教育――この二つの"教育の10年"の成功を目指し、国連諸機関や他のNGO(非政府組織)と協力しながら、最大に支援していきたいと思います。
 この環境教育の柱となるのは、NGOの地球評議会が制定を進め、私どもがその運動を支援してきた「地球憲章」だと思います。
 そこには、こう謳われています。
 「私たちは歴史上はじめて、共通の運命によって新たな行動を始めることが求められている。こうした再出発こそ、地球憲章の原則に込められた誓いである」
 「そのためには、心と思考を変えなければならない。また、地球規模の相互依存感と責任感という新しい感覚が必要となる」
 環境問題に限らず、世界が直面するさまざまな課題に取り組むには、こうした責任感と主体性を一人ひとりが持つことが欠かせません。
23  一人の人間に世界変える力が
 またSGIでは、地球評議会による映画「静かなる革命」の制作に協力しました。
 インド・二ーミ村の水資源問題、スロバキアのゼンプリンスカ・シラバ湖の環境汚染、ケニアの砂漠化など、環境問題の解決のために立ち上がった人々のドラマを追ったこの映画のテーマは、「一人の人間が世界を変えていく」であります。
 人類の歴史を振り返れば、動かしがたいと思われた現実を突き動かし、時代変革の波を起こしてきたのは、不屈の信念と勇気と情熱を燃やした人々の存在でした。
 しかし現代の社会では、「自分一人がどうしたところで......」といったぬぐいがたい無力感や、「何をやっても状況は変わりはしない」といったあきらめが、人々の心を大きく蝕みつつあります。
 そうした状況の中で、心ある人でさえも現実を前に希望を失い、自分の世界に小さく閉じこもってしまう――私は、ここに現代の"一凶"がある気がしてなりません。
 核時代平和財団のデイビッド・クリーガー所長との対談集『希望の選択』でも、このことが焦点となりました。
 所長は、アインシュタイン博士が発見したエネルギーと質量に関する方程式を敷衍させて、「一人の人間の一念には、世界を変革する力がある」との平和の方程式を確立させていくことが重要ではないかと訴えていました。
 私どもSGIが取り組んでいる「人間革命」運動の眼目は、まさにその一点にあります。
 現実が厳しいからといって、手をこまねいてはならない。目覚めた民衆が連帯し、行動していけば、どれほどの力が生まれ、変化の波が起こるか――その証明にこそ、21世紀の人類が果たすべき使命があるのではないでしょうか。

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