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日蓮大聖人・池田大作

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小説『人間革命』収録にあたって 「池田大作全集」刊行委員会

小説「人間革命」1-2巻 (池田大作全集第144巻)

前後
3  牧口初代会長も、戸田第二代会長も、池田名誉会長も、宗門の歴史に紆余曲折があり、時に過ちはあっても、日蓮大聖人の仏法の正法正義に立ち返り、仏法広宣の精神が継承されているとの認識に立っていた。いや、そう期待して行動したのである。
 したがって、宗門に過ちがあれば、諌めつつも、外護の赤誠を貫き、僧俗和合して広宣流布に邁進することを念願としてきた。
 その発露として、名誉会長は、小説『人間革命』においても、宗門を讃え、最大の敬意を払って記述し、さまざまな伝承に至るまで尊重してきた。
 しかし、「宗門が、広宣流布を推進してきた仏意仏勅の団体である創価学会の崩壊を企て、″破門″し、仏法破壊の元凶と成り果てた今、『人間革命』をそのまま、全集に収録してよいのか」――という問題提起が、当然のことながら、刊行委員会でなされたのである。
 全集は、名誉会長の思想、哲学を後世に誤りなく伝え残すことを、大きな使命としている。それは翻訳され、世界の人々の目にも触れることになる。もし、これまでの『人間革命』がそのまま収められれば、宗門事件の真実を知らない人々は、宗門が正法正義を守り、大聖人の御精神を受け継いでいるかのように思い込んでしまうおそれがなきにしもあらずである。そうなれば、宗門が邪宗門と成り果てた現実が広く知られていたとしても、混乱をもたらし、人々の信仰自体を誤らせてしまいかねないと危惧したのである。
 そこで、刊行委員会では、そうした混乱を生じさせないために、宗門関係の記述については、名誉会長に再考していただくよう、お願いすることにした。甚だ、ぶしつけな要請であることは承知のうえで、率直にご相談申し上げた。名誉会長は、熟慮され、最終的に、「皆の要請ならば」と、刊行委員会の意見を尊重し、ご了解いただいた。
 また、名誉会長からは、歴史の記述についても、原稿執筆後に新たな資料が発見、公開されていることなどから、再度、精察したいとのお話もいただいた。
 さらに、「五十年後の、若い読者が読んでもよくわかるように、表現や表記等も、一部改めたい」とのご意向も伺った。
 小説『人間革命』は、全十二巻の長編小説である。『新・人間革命』や随筆等々の執筆の傍ら新資料も精査しながら、推敲していただいた。
 そして、ここに小説『人間革命』第二版として、全集に収録・発刊の運びとなったのである。刊行委員会として、心より深謝申し上げたい。
4  小説『人間革命』には、牧口常三郎、戸田城聖、山本伸一という師弟の、不惜身命の実践によって、日蓮仏法が広く民衆に根差し、人間蘇生の哲理として、現代社会に開花していった歴史が綴られている。
 また、そこには、「人間革命の道」が、「幸福境涯確立の道」が、「広宣流布の道」が、「世界平和の道」が示されている。それは、会員の皆様方にとっては「信心の教科書」となり、社会にあっては、混迷の時代を聞く「人間主義の灯台」となっていくにちがいない。
 法華経には「令法久住」(法をして久しく住せしめん)とある。未来永遠にわたって、正法を伝えていくことの大切さを示している。
 『人間革命』の全集への収録にあたって名誉会長が、あえて推敲の労作業をお引き受けくださったのも、日蓮大聖人の御精神は、その信心の正義の血脈は、広宣流布に生き抜く創価学会にこそ脈打っていることを、未来永遠に伝え残そうとされたからにほかなるまい。
 本全集では単行本二冊ずつを一冊にまとめ、本巻・第百四十四巻から第百四十九巻まで六巻にわたって収録させていただく予定である。
 この『人間革命』が、多くの皆様に愛読され、未来を、世界を照らす、人類の幸福と平和の「光源」となることを念願してやまない次第である。
                    二〇一二年七月三日

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