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日蓮大聖人・池田大作

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2 教育交流は世界平和の基盤  

「人間と文化の虹の架け橋」趙文富(池田大作全集第112巻)

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9  済州島に「南北センター」を
  尊いご献身に、心より敬意を申し上げます。
 ここで、済州大学の特徴を少し詳しく申し上げさせていただければ、済州島が北方大陸文化と南方海洋文化の交差点に位置するため、これら二つの文化を調和させるという、人類にとって非常に重要なテーマを身近に感じやすいという点があげられます。
 ハワイには、戦前から「東西センター」がありました。ここが、東西文化の交流と、人類の相互理解のために役立ってきた歴史は有名です。
 それと同様に、済州島では、「南北センター」を設置できる可能性があると考えています。
 ここでいう「北」とは、資本主義のノウハウと倫理で成り立ち、発展してきた国、たとえばドイツ、フランス、イギリス、そして日本が含まれます。それに対し「南」とは、資本主義のノウハウと倫理が必ずしも成り立たない国、たとえば南半球の大部分の国家と、中国やロシア、東南アジア、南アジア、中東などの諸国が含まれます。
 これからの人類は、経済関係の活動と倫理関係の活動の両方を、解決しゆくことを考えなければならないでしょう。
 池田 ハワイの「東西センター」は、私も以前(一九九五年一月)講演をしたことがあります。東と西が出会うハワイという歴史と文化の地にふさわしい研究機関でした。
 平和と共生の地球社会を築くためにも、「南北センター」の構想は、とても重要だと思います。
 本年(二〇〇四年)から、済州大学と創価大学が期間一年の交換留学生を相互に派遣する予定になっています。
 創立者として、ますますの活発な交流を、心から期待しています。
  そうですね。私も大変に期待しています。
 留学生たちの道のりは、決して平坦ではないでしょう。しかし彼らの交流は、まず言葉の問題、次に、お互いが理解しようとしている文化の問題、そして習慣の問題を解決するのに役立つはずです。
 自分が決めた分野の研究のために、文字どおり日本と済州島を行き来し、さらに次の研究ステップへと情熱を燃やし続けることができれば、これほどすばらしいととはありません。
 ともかく、自分の経験から言っても、留学には明確な目的をもつことが大切だと思います。
10  中国を含む三カ国交流への展望
 池田 済州島では現在、ビジネスの面でも、観光の面でも、中国との交流が拡大していると聞いています。
 これは文化交流、教育交流にもつながる動きではないでしょうか。
 済州島をはじめとする韓国と中国、そして日本を含めた三カ国の教育交流について、何かお考えはありますか。
  朴正煕大統領の時代、韓国は経済的に大きな発展を遂げました。それを見た中国は、発展の原因が韓国の教育にあると考え、韓国の教育事情を調査しました。
 しかし、これは両国の教育交流という観点から見ると、逆効果でした。
 当時、韓国は軍事政権で、その教育は中国から見て「あまりに自分勝手な人材育成であり、社会主義的立場を維持する中国の発展のためには、参考にならない」と映ってしまったのです。
 その印象は、数十年経った今も、影響を及ぼしているように思えます。
 現在、韓国の学生たちが相当数、中国に留学していますが、彼らは韓国で暮らしているのと同様、自分勝手に振る舞っていると中国側に見られる傾向にあるようです。
 一方、日本との関係で問題になるのはむしろ、日本人学生が韓国にどれくらい興味をもち、学びに来るか、ということでしょう。韓国に留学することの意義を見出せるかどうかということです。
 池田 示唆深い大切なお話です。学生世代の韓日交流は、世代別に見て最も活発に行われ、教育交流もまた、韓日二カ国間では大きく前進していると言えます。
 北東アジアの平和と安定を考えたとき、この両国と中国との教育交流も、否が応でも重要になってくると思われます。
 先ほども触れましたが、創価大学は、日中の若い世代の交流がアジアの平和の大きな礎になるとの思いで、新中国からの留学生を迎えてきました。
 今では、日本全体で、中国からの留学生は、五万八千人を超える(二〇〇二年五月時点)までに大きく広がっており、うれしく思っています。
  池田先生が早くから日中の教育交流に尽くされてきたととは、よく知っています。
 韓国の場合ですが、改革案としては、たとえば中国の大学の分校のようなものを済州島などに作り、そこで中国の教育システムを一、二年教えて、それから中国本土へ留学させるという方法が考えられると思います。
 中国との経済交流が進めば、当然、文化交流も、教育交流・人材交流も進むことでしょう。逆に、政策によって教育交流から始めて、文化交流や経済交流が活発になる可能性もありますね。
 池田 二〇〇二年は日中韓の国民交流年でしたが、四年後の二〇〇八年には、北京オリンピックもあります。こうした機会をとおして、三カ国の交流が大きく進むよう願っていますし、私たちも力を尽くしていきたいと決意しています。
 その意味でも、平和のために、戦争のない世界を築くために、教育交流が、ますます必要です。
 アジアの国々が、一つ一つの課題を見極め、ともに知恵を出し合って、教育が平和に与える「可能性」を、どこまでも深く追求していくべきです。
 とくに中園、韓半島、日本という、北東アジア地域の交流がきわめて大切です。この地域の相互理解が、平和と安定への大いなる土壌になると確信します。

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