Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

恐れなき和歌山の友に贈る 連続勝利の歴史を! 全世界の友のために

2003.4.23 随筆 新・人間革命6 (池田大作全集第134巻)

前後
5  昔、小学校の教科書に、「稲むらの火」という物語が出ていた。
 これは、和歌山の広村(現・広川町)出身の偉人である浜口梧陵の逸話から、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が創作した短編がもとになっているようだ。
 ――高台に住んでいた五兵衛(モデルは浜口梧陵)が、ある年の大地震の時に、海の異変から津波が来ることをいち早く察知した。だが、海べりの村人たちは、一向に気づかない。急を知らせに下りていく余裕もない。
 彼は一計を安じ、刈り入れたばかりの稲の束に、ことごとく火をつけた。火事だと思った村人が高台に集まった時、津波が押し寄せた……。
 和歌山には、この物語のように、人のために我が身を投じ、資財を投じる、尊き献身の気風がある。すばらしい県民性である。
 わが学会の生き方とも、深い共通点があることを嬉しく思う。本来、宗教は社会を離れてはありえない。社会の信用を得てこそ、生きた宗教の証左があるからだ。
 和歌山の同志は、時に愚直なまでに、この指針を忠実に守ってくださった。
 現在は、山間部や農村地域で、聖教新聞の購読者数が全世帯の三分の一を超える町村が幾つも出ている。
 偉大なる人材と団結の和歌山の底力を、今もって私は心から頼もしく思い、和歌山の同志を敬愛している。
 かつて、もし私が会長辞任した時は、和歌山に定住し、和歌山の方々と一生涯、共戦していこうと、妻とこっそりと決意深く語り合った。妻も大賛成であった。
 二人にとって、忘れ得ぬ深刻な会話であった。
6  ナポレオンは言った。
 「不可能は小心者の幻影であり、卑怯者の逃避所である」(扇谷正造・本多顕彰監修『世界の名文文句引用辞典』自由国民社)――。
 御書には「一は万が母といへり」と仰せである。
 一人の勇気ある行動が次の一人の行動を呼び、遂には万人の勇気の行動となり、勝利を呼ぶのだ。
 恐れなき和歌山の友よ、一人ももれなく幸福と栄光を勝ち取り、和歌山の連続勝利の歴史を、全世界の友のために築き飾っていっていただきたい。
 イギリスの青春詩人バイロンは叫んでいる。
 「私の義務は、正しき目的のためにすべてを賭することにある」(『バイロン詩集』阿部知二訳、小沢書店)と。

1
5