Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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知性の英雄・学生部 民衆と共に 真の人間指導者たれ

2002.7.2 随筆 新・人間革命5 (池田大作全集第133巻)

前後
5  現在、北海道の広宣流布の指導者として、雄々しく戦っている、ある幹部の体験を聞き、忘れることができない。
 彼は、北海道から千葉の大学に入った。幼少のころから、長い間、父は不在。病弱な母は、喀血しながら、懸命に働いて四人の子どもを育てた。
 三玉のウドンで、一家五人が三日間暮らさねばならないこともあったという。
 しかし、彼は向学の思いやみがたく、岩に爪を立てるように苦学を重ね、遂に大学の進学を果たすことができた。
 旅立ちの日、母は息子に手紙を託した。そこに、次のような歌がつづられていた。
 「己が心 磨き磨きて 世の中の 鑑となりて 人に愛されよ」
 苦労した母の願いは、ただ"世のため、人のために生きよ″ということであった。
 今日の大創価学会を築いたのは、この偉大なる母たちであった。
 若き諸君は、その「心」の深さを知らねばならない。この健気な母たちのために、一切の学問もあるのだ。
 この人間の天地への感謝を忘れてしまえば、そこから尊き求道心も消えてしまうことを自覚していただきたい。その揚げ句、力のない、見栄っ張りの愚かな虚栄の人間に陥っては絶対にならない。
 学問も、教育も、人格の価値を高めるためにある。
 "この目的観の上に立つ教育の実現される日こそ、社会の持つすべての虚偽と悲惨とが解決される時となる″とは、牧口先生の指導である。
6  学生部結成の翌年(一九五八年)の六月三十日――この日、私は学会の総務に任命され、たた一人、広布の全責任を担い立った。
 「六・三〇」とは、いわば、恩師の構想の実現へ、弟子が一人立ち上がる日である。
 「学会創立百周年」の佳節となる二〇三〇年。その時、今の学生部諸君は五十歳前後となろうか。
 広宣流布の大組織にあっても、さらには現実社会にあっても、重要な、そして貴重な責任者としての年齢となっているだろう。
 ありとあらゆる分野で、さらには、世界のあらゆる国々で、大人材となりて、生き生きと活躍する諸君の勇姿を思い描く時、我が胸は躍る。
 敗北者は、創価の世界には一人もいらない。
 新しき世紀の偉大なる旗手である男女学生部の友よ!
 自分自身の旗を振りながら、愉快に立ち上がれ!
 そして、愉快に勇気をもって勝ち進め! 後悔なき我が青春の一日一日たれ!
 そこに、自分の勝利とともに、友達の勝利も築かれゆくからだ。
 新世紀の指導者、君たちよ、アメリカ民主主義の父・トマス・ジェファーソン第三代大統領は叫んだ。
 「各世代が先人の獲得した知識を継承し、それに自らの習得と発見を付加し、それを後世に伝え、絶え間なく集積していくことによって、人類の知識と幸福が増進されるにちがいない……何人も決めたり予想したりできないところまで、無限に」(ラルフ・L・ケッチャム『アメリカ建国の思想』佳知晃子訳監修、時事通信社)
 この言葉を、私は君たちに贈りたい。
 ――二〇〇二年六月三十日、学生部結成四十五周年を記念して。

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