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日蓮大聖人・池田大作

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紅燃ゆる志の天地・四国 友よ 正義を叫べ 正義に生き抜け

2001.7.28 随筆 新・人間革命4 (池田大作全集第132巻)

前後
4  高知に生まれた「立志社」が先障を切った民権運動の組織は、瞬く間に各地に広がっていった。やがて全国で二千を超える結社が誕生した。
 民権運動は、止まることを知らぬ潮流となっていった。その核心は”民衆の勢力を蓄培する”ことである。
 植木は、有名な『民権自由論』に言う、「民は国の本なれば国の盛んになるは民が元気を振はねばならず」(前掲『植木枝盛集』1)と。
 つまり、国家の根本は、国民が力を持ち、民衆が元気であることだというのである。
 民衆こそ主役だ! 本当の民主の時代を築くのだ!
 その気概に、青年民権家たちは、燃えに燃えていた。
 青年は、吸収した新知識を同世代へ広め、さらに少年たちに、老人たちへと伝えていった。
 ことに、二十代の若き力が、民権思想を普及する推進力となっていたのである。
 今、創価学会も、二十代の若き青年たちが、すべての勝利の原動力だ。
 青年よ、民衆の中へ走れ!
 民衆と共に語れ!
 青年の力こそ、時代変革の大スクリューである。
 澎湃たる民権運動にあって、女性の活躍も、目覚ましかった。
 香美郡の山間地に、演説会と聞けば、いつも勇んで参加する農家の婦人がいた。
 彼女は、ある民権家の演説が官憲から中止させられたことに、いたく憤慨した。
 ”負けるものか。必ず演説会を再開させてみせる!”
 そして、自分一人でも演説会を主催する、会場も引き受けるからと、懸命に奔走したのである。
 自由も、権利も、与えられるものではない! 自らが戦い、勝ち取るものだ!
 賢明なる四国の女性たちは、そのことを知悉していたのである。
 「女性の権利を含む民主主義の拡大だけが、真の勝利をもたらすことができます」(イスラエル・エプシュタイン『宋慶齢』下、久保田博子訳、サイマル出版会)
 これは、孫文博士の夫人で、中国の良心と謡われた、宋慶齢先生の信念であった。
5  四国の植木枝盛は訴えた。
 ”人民は出来うる限り政府を監督、視察せよ。抵抗しないことがあってはならない”
 戸田先生の「政治を監視せよ!」との遺言と、なんと響き合うことか。
 「怒るに怒らず怨むに怨まず、卑屈の奴隷に安んじて此に満足する人民等は、是れは国家の良民ではない、ほんに国家の死民でござる」(前掲『民権自由論』)
 人民よ、悪と戦え!
 国民ょ、勇気で立て!
 もう終わりにしようではないか。
 欺瞞の政治家連中が我が物顔に振る舞い、正直な民衆が不幸と悲惨を強いられるような時代の流転を!
 植木の言葉は、百年の歳月を超えて、四国の山河に轟く、魂の雄叫びである。
 ともあれ、民衆が正義を叫び抜くことだ。
 ナチスに真っ先に抵抗した、ユダヤ系ドイツ人の作家トラーは言った。
 「支配者たちは言葉と真実を恐れている」(島谷謙『ナチスと最初に闘った劇作家』ミネルヴア書房)
6  四国の先人・植木枝盛は、快活に、人間の力の無限性を信じていた。
 事に処するに、彼は口癖のように言った。
 「ナニ出来ぬことがあるか」
 「ナニ難しきことがあるか」
 「ナニそれしきの事が」
 「ナニ堪えられぬことがあるか」等々。(『植木枝盛自叙伝』、前掲『植木枝盛集』10所収)
 いつも、自らを「ナニ!」と鼓舞しながらの奮闘奮戦で一日一日を送った。
7  四国は「志国」──燃え上がる「志の国」だ。
 御書には、「凡夫は志ざしと申す文字を心て仏になり候なり」と仰せである。
 新しい世紀を創るものは、わが敬愛する同志の胸中に燃える「大志」の炎だ。
 この二十年、雨の日も、風の日も、炎天下にも、「紅の歌」を歌いながら、戦い抜いてきた四国の同志よ!
 広布の電源地・香川よ!
 信心の王国・愛媛よ!
 歓喜の渦潮・徳島よ!
 先駆の光源・高知よ!
 遂に、我らの四国が世紀の大空に舞いゆく時が来た。
8  あの日、あの時、四国での指導の旅のなかでも、戸田先生との”師弟の語らい”は続いた。
 その話題は、ドイツ文学である。
 私が、愛誦するゲーテの格言を幾つか申し上げると、先生は、「おまえは、ゲーテを知り抜いているな」と感心してくださった。
 とくに、先生が微笑みながら頷いておられたのは、”困難があってはじめて善事が貫徹される”(エッケルマン『ゲーテとの対話』亀尾英四郎訳、岩波文庫。参照)、”勇気は、早晩、愚昧な世間の抵抗に打ち勝つ”(『ゲーテ詩集』3、片山俊彦訳、岩波文庫、参照)などの言葉であったと記憶する。
 さあ! 不屈の闘魂が燃える正義の四国から、壮大なる民衆王者の大行進の勝鬨をあげたい。
 日本中、世界中の同志が、四国の爆発的な大勝利を祈り待っているからだ。

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