Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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桜の城 輝く創価の大道に 勝利の花は爛漫と

2000.5.30 随筆 新・人間革命3 (池田大作全集第131巻)

前後
6  新宿の、わが家の小さな庭にも、二本の桜が雄々しく咲き薫る。
 一本は玄関の右手に立っているソメイヨシノ。もう一本はヤマザクラで、左手の隣家の側にある。
 私は、一本を「平安桜」、また、もう一本を「元禄桜」と命名した。例のごとく、妻は「何を見ても、あなたは優雅ですね」と微笑して言った。
 私たちが信濃町に引っ越したのは、一九六六年(昭和四十一年)の秋のことであった。
 早いもので、もう三十年以上になる。
 移転した時、既に植わっていた二本の桜は、現在、どちらも樹齢四十年ぐらいと聞いている。
 しかし、幹の太さや、樹皮の表情から、見立ててくださった造園業者の方は、「樹齢七十年ぐらいの風格があります」とおっしゃっていた。
 風格――人間もまた、風雪を越え、何ものにも揺るがぬ人格を磨きたいものである。
 ともあれ、桜は、厳しい冬を耐えて、耐えて、耐え抜いて、遂に迎えた春を、歓喜の勝鬨のごとく咲き誇る。
 勝利と祝賀を、賑やかに繰り広げゆく姿といってよい。
 今しかない、今しかないと、命の限り、清浄なる白き炎となって、燃えて咲きゆく景観は、皆の心に、安堵と平穏の憩いを与えてくれる。
 「瞬間即永遠」である。
 今を生き抜き、断固として、勝ち取るなかに、三世に薫る、「勝利」と「栄光」の人生の開花がある。
 「毎日その日の闘いを!……闘おう、最後まで」(『魅せられ樽魂』10、宮本正清訳m岩波文庫)とは、私の好きなロマン・ロランの言葉である。
7  私は一昨年の正月、七十歳を迎えた時から、この「随筆」を書き始めた。
 以来、連載は百五十回を超え、優に数巻の本になるほどになった。
 今回、そのうちの三十数編を選び、長編詩二編を加え、一冊の随筆集とし、そのタイトルを『随筆桜の城』とさせていただいた。
 大切な皆様方の御愛読に、心から感謝しつつ。
  来春も
    桜花の爛漫
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