Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

文化と哲学の山梨 清新の宝土に 正義の光あれ

1999.5.29 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

前後
5  大聖人は、弘安五年(一二八二年)の秋、八年余を過ごされた身延を発ち、御入滅の地となる池上へと、歩みを運ばれた。
 その時、河口湖の湖辺を通られたことは有名である。
 一九五五年(昭和三十年)の六月、戸田城聖は、この河口湖、さらに山中湖で、いつも新しき、永遠の創造の輝きに包まれながら、八十余名の弟子の育成に汗を流した。それは、恩師の、最後の野外訓練となった。
 ともあれ、朝な夕な王者の富士を仰ぐ山梨の天地には、正義の闘争の誇りがあり、人材錬磨の不滅の伝統がある。
 山梨研修道場が、思い出深き山中湖畔に完成したのは、傲慢な″衣の権威″の名のもとに、迫害の嵐が吹き荒れていた創立五十周年の秋であった。
 翌年(昭和五十六年)の夏、この道場で開催された、民衆の勝鬨響く野外文化集会は、自由な魂の勝利であった。自由な翼の世界へ飛びゆく瞬間であった。
6  「世界には二つの力しかない。すなわち剣と精神の力である。(中略)ついには、剣は常に精神によって打ち破られる」(オクターヴ・オブリ編『ナポレオン言行録』大塚幸男訳、岩波文庫)とは、英雄ナポレオンの言である。
 今、人類の進歩に逆行するがごとき、危険な国家主義の台頭を憂慮する声は高い。だからこそ、精神の力、文化と哲学の「ソフト・パワー」をもって、民衆が傲慢なる権力を包囲することが、いよいよ大事になってきた。
 かつて、私は「文化の山梨たれ!」と期待を寄せた。
 文化とは、生きる喜びだ。
 人間性の勝利だ。権力の鎖を断ち切る、人間解放の歌声だ。
 清新なる「ニュー山梨」の、わが友よ!
 絢爛たる「文化の城」「平和の要塞」を、わが郷土に築いてくれ給え。新しき時代と世紀の旗は、君たちの手に握られ、君たちの生命に輝いているからだ。

1
5