Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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フィリピンの心 寛容の大地に開く友情の花

1998.2.15 随筆 新・人間革命1 (池田大作全集第129巻)

前後
3  戦時中の日本軍の蛮行による、フィリピンの犠牲者は、あまりにも多く、傷も深かった。
 その狂気の嵐のなかで、誉れある、わが創価の牧口初代会長も、二代の戸田会長も、敢然と軍部権力と戦った。
 なんと誇り高き師匠であろうか。
 なんと偉大な、殉教の師であろうか。
 その源流をもつSGIに対する、フィリピンの方々の信頼は厚く、また、温かく見守ってくださる。この深い洞察に、私は敬意を表したい。
 十一日の夕刻、リサール協会は、スペインのカルロス国王に、「リサール大十字勲章」をお贈りしている。
 私も、同勲章の受賞者として、また、初の「リサール国際平和賞」の受賞者として、この式典に出席し、慶祝させていただいた。
 国王は、独裁者フランコ総統の時代に、二十余年の忍従の歳月を過ごされている。そして、独裁が崩壊するや、民主国家の建設に、さっそうと指揮をとられた方である。
 フィリピンには、スペインの植民地として服従を強いられてきた、悲しい歴史がある。ホセ・リサール博士もスペイン軍によって処刑された。
 ともすれば、過去の歴史から、その国を憎悪し続けるのが、人間の常であろう。
 しかし、「国家」という枠をもって人間をとらえ、「過去」に縛られ、「反目」と「憎悪」を継承することを、リサール協会は拒んだ。国王の偉大なる功績を正しく評価し、顕彰したのである。
 私は、ここにも、フィリピンの方々の鋭い洞察眼と「友愛」と「寛容」の心を見る思いがする。
4  二十一世紀を「平和の世紀」とするためには、「寛容」の精神に立つことが不可欠である。
 しかし、「妥協」と「寛容」とは異なる。
 「妥協」は、保身と利害と精神の脆弱さの産物にすぎない。その帰結は、悪の容認であり、堕落である。
 だが、「寛容」は、善悪を見極める鋭い洞察眼に裏打ちされた、強き信念の所産である。また、苦難のなかで磨き培われた、まことの人間性の輝きであり、その光が友情を育む。
 広宣流布の大信念に生きるわれらの胸には、悠々たる寛容の大地が広がる。ゆえに、創価の友のいくところ、笑顔と対話の友情の花が咲き薫る。
 フィリピンの友の友情と未来を称えるかのように、国花のサンパギタ(マツリカ)の白い花が、太陽に微笑んでいた。

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