Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第39回「SGIの日」記念提言 「地球革命へ価値創造の万波を」 

2014.1.26 「SGIの日」記念提言(池田大作全集未収録分)

前後
30  SGIの青年部が実施した意識調査
 その観点から重要となるのが、オスロでの国際会議に続く形で来月にメキシコで行われる「核兵器の人道的影響に関する国際会議」から、広島と長崎への原爆投下70年を迎える来年8月までの期間であると言えましょう。私どもSGIでも、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)をはじめ、「核兵器のない世界」の実現を求める多くの団体と力を合わせて、グローバルな民衆の意思──特に青年世代の声を結集していきたいと思います。
 SGIの青年部では、9カ国の青年層を対象にした「核兵器の非人道性」に関する意識調査を実施し、その結果を昨年4月にNPT再検討会議準備委員会のコーネル・フェルタ議長に提出しましたが、そこでは9割以上が核兵器を非人道的と考え、8割が禁止条約の制定を支持していることが明らかになりました。
 「核兵器のない世界」の建設は、核兵器の脅威を取り除くことだけが目標ではなく、平和と共生に基づく時代への道を民衆自身の手で切り開く挑戦に他なりません。そしてそれは、将来の世代を含めて、すべての人々が尊厳を輝かせて生きていくことのできる「持続可能な地球社会」の必須の前提となるものです。
 それが、21世紀に生きる私たち民衆が連帯して成し遂げるべき価値創造の挑戦であるとするならば、その最大の主役は青年です。
 次代を担う青年たちが、「核兵器による悲劇を誰にも味わわせてはならない」「核兵器と人類は共存できない」との思いを結集し、行動の連帯を大きく広げていけば、乗り越えられない壁などないはずです。
 私どもSGIは、核兵器の廃絶をはじめ、地球上から悲惨の二字をなくすために、青年世代の活動を柱に希望のビジョンを共有する人々や団体と協力し、価値創造の万波を力強く起こしていきたいと思います。
 2014.1.26  創価学会インターナショナル会長 池田大作 
31  語句の解説
 注1 ソーシャル・キャピタル
 社会や地域での信頼関係や結びつきを表す概念で「社会関係資本」と訳される。これが蓄積された社会では、相互の信頼や協力が得られやすいため、経済や教育、健康や幸福感の面でも良い影響がみられることについて、政治学者のロバート・パットナムによる実証研究など、さまざまな研究が進められてきた。
 注2 スペイン内戦
 1936年から39年までスペインで続いた内戦。人民戦線派(左派勢力)による政府に対し、軍部・右翼勢力が蜂起。政府側はソ連や国際義勇軍の支援を受けたが、ドイツとイタリアのファシズム勢力から援助を受けた軍部・右翼勢力に敗れ、フランコ将軍の独裁体制が成立した。当時、国際義勇軍には、小説家のジョージ・オーウェルや詩人のスペンダーをはじめ、多くの知識人も加わった。
 注3 ヘイト・クライム
 人種、民族、宗教など特定の属性への憎悪や偏見に基づく犯罪。90年代以降、アメリカを中心に広がり、近年も経済不況の影響で増大する人々の不安や不満を背景に深刻化してきた。ヘイト・スピーチ(明確な差別的な意図に基づく暴言や差別的行為を扇動する言動)とともに、各国で大きな社会問題になっている。
 注4 新しい国際共通目標
 国連が2015年を目指して進めてきたミレニアム開発目標に続く枠組みで、「ポスト2015開発アジェンダ」との名称で呼ばれる。現在、この検討作業と並行する形で「持続可能な開発目標」の内容検討も進んでいるが、最終的にはこの二つの流れが統合され、単一の共通目標として制定される見込みとなっている。
 注5 ASEAN地域フォーラム
 アジア太平洋地域の安全保障環境の向上を目的とした政府間フォーラム。1994年に第1回閣僚会合が行われて以来、信頼醸成の促進や予防外交の進展などが図られてきた。アメリカやロシアを含めた26カ国とEU(欧州連合)が参加し、災害救援のような非伝統的な安全保障分野での連携にも力が入れられている。
 注6 包括的核実験禁止条約
 大気圏内外、水中、地下での爆発を伴う核実験を禁止する条約。略称はCTBT。96年9月に国連総会で採択された。まだ発効していないものの、自発的な核実験停止の流れを下支えし、国際監視制度の整備も進むなど、条約の存在自体が一定の役割を果たしてきた。発効には、核兵器の開発能力のある44カ国すべての批准という厳しい条件があり、残り8カ国の批准が必要となっている。

1
30