Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第37回「SGIの日」記念提言 「生命尊厳の絆

2012.1.26 「SGIの日」記念提言(池田大作全集未収録分)

前後
29  具体的提案と行動が人類守る屋根に
 以上、災害や環境と開発の問題に加えて、核兵器の問題について、それぞれ具体的提案を行いました。
 いずれの問題も容易ならざる困難を伴うものですが、無限の可能性を秘めている民衆一人一人の力を結集することで、解決への道は必ず開くことができると確信しています。
 今から60年前に「地球民族主義」を提唱し、55年前に「原水爆禁止宣言」を発表した師の戸田第2代会長の信念は、“常に100年先、200年先を見据えて行動せよ”でした。
 そして戸田会長が、不二の弟子である私に未来を託して師子吼された言葉は、生涯の誓いとなり、行動の原点となりました。
 「人類の平和のためには、“具体的”な提案をし、その実現に向けて自ら先頭に立って“行動”することが大切である」「たとえ、すぐには実現できなくとも、やがてそれが“火種”となり、平和の炎が広がっていく。空理空論はどこまでも虚しいが、具体的な提案は、実現への“柱”となり、人類を守る“屋根”ともなっていく」と。
 これまで30年間にわたって続けてきたこの提言は、師との誓いを果たす実践に他なりません。
 こうして地球的問題群の解決のための提案を重ねる一方、問題解決の最大の原動力となるグローバルな民衆の連帯を広げるために、192カ国・地域のSGIの同志とともに、来る日も来る日も、勇気と希望を人々の心にともす対話に取り組んできたのです。
 平和への戦いも、人権や人道のための戦いも、何か一つの山を乗り越えれば、終わりが見えてくるようなものでは決してない。
 一つの世代から新しい次の世代へ、誰にも断ち切ることのできない滔々たる流れをつくり、その流れを強く、また太くしていく挑戦の中で、地球の未来は盤石なものになると、私どもは確信し、ともに行動を積み重ねてきました。
 今後もその信念を燃やして、「民衆の民衆による民衆のためのエンパワーメント」を力強く推し進め、平和と共生の地球社会に向けた土壌を耕していきたいと決意するものです。
 2012.1.26創価学会インターナショナル会長池田大作
30  語句の解説
 注1 リーマンショック
 2008年9月、大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が引き金となった世界的な金融危機。ほとんどの国の株式相場が暴落し、金融システム不安から国際的な金融収縮が起きた。アメリカのみならず、ヨーロッパ諸国や日本が、第2次世界大戦後初の同時マイナス成長に陥った。
 注2 ペロポネソス戦争
 紀元前431年から前404年、古代ギリシャで繰り広げられた戦争。アテネを中心とする「デロス同盟」と、スパルタを中心とする「ペロポネソス同盟」との間で覇権が争われた。ペルシャの援助を受けたスパルタ側の勝利に終わったが、戦争の痛手は大きく、ギリシャ全体が衰退に向かう原因となった。
 注3 毒矢の譬え
 観念的な議論にふける弟子を戒めるために釈尊が説いた譬え。“毒矢で射られて苦しんでいる人が、だれが矢を射たのか、矢はどんな材質だったのか判明しないうちは治療しないでほしいとこだわっているうちに、命を落としてしまった”との譬えを通し、人々の苦しみを取り除く現実の行動にこそ、仏教の本義があることを諭した。
 注4 1325号決議
 国連安全保障理事会が2000年10月に採択した画期的な決議。紛争の防止や解決、平和構築における女性の重要な役割を再確認した上で、武力紛争下のあらゆる形態の暴力から女性を保護する特別な方策をとることや、女性や少女への暴力を含む戦争犯罪の責任者を訴追することなどを求める内容となっている。
 注5 ミレニアム開発目標
 2000年9月に採択された国連ミレニアム宣言等をもとにまとめられた国際目標。2015年を目標期限とし、極度の貧困や飢餓に苦しむ人々の半減をはじめ、初等教育の完全普及、乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康改善など、8分野21項目にわたる目標の達成が目指されている。
 注6 ビキニ環礁事件
 1954年3月、太平洋中西部にあるビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験によって、近海で操業中だった日本の漁船「第五福竜丸」の乗組員が被ばくした事件。ビキニ環礁では46年から58年まで、アメリカによる核実験が繰り返し行われ、マーシャル諸島の周辺住民たちは長年にわたって放射能汚染による被害に苦しんできた。

1
29