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第36回「SGIの日」記念提言 「轟け! 創造的生命の凱歌」

2011.1.26 「SGIの日」記念提言(池田大作全集未収録分)

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25  時代を画する挑戦を成就させるカギ
 以上、「核兵器の禁止と廃絶」と「人権文化の建設」を中心に論じてきましたが、私たち民衆一人一人が自らの選択に基づいて起こす行動が、人類史を画する壮大な挑戦に直結しているとの誇りを忘れてはならないと思います。
 この点に関して思い起こされるのは、貧困の根絶のために行動を続けるコロンビア大学地球研究所のジェフリー・サックス所長が、過去2世紀の歴史を振り返って奴隷制と植民地主義とアパルトヘイト(人種隔離政策)を終焉させた挑戦が成功した要因を分析して述べた次の言葉でした。
 「過去にも人間の自由と幸福の拡大のために貢献した世代はあった。そんなチャレンジを可能にしたのは、努力、話しあい、忍耐、そして歴史の正道を歩んでいるという強い喜びである」(鈴木主税・野中邦子訳『貧困の終焉』早川書房)と。
 なかでも私が重要と思うのは、最後に挙げられた「歴史の正道を歩んでいるという強い喜び」です。
 自分たちの日々の行動や対話が世界を正しい方向へ向かわせているとの確信と喜びこそが、未曾有のパワーを民衆自身の中から生み出す源泉となるものにほかならないからです。
 私どもSGIは、「新しき時代創造の主役は民衆」との信念と「人間精神の変革が生み出す力は無限」との確信をいよいよ燃やし、「平和と共生の地球社会」の建設に向けて志を同じくする人々との連帯を幾重にも広げながら、前進していきたいと思います。
 2011.1.26  創価学会インターナショナル会長 池田大作
26  語句の解説
 注1 消えた高齢者
 東京・足立区で昨年7月、戸籍上では111歳で生存しているとされていた男性の遺体が発見されたが、その後の捜査で、男性がすでに30年以上前に死亡していたことが判明した。この事件を機に、全国の自治体が高齢者の安否確認を進めた結果、住民票や戸籍が残っていてもすでに死亡していたり、行方不明となっているケースが各地で多数あることが明らかとなり、大きな社会問題となった。
 注2 毒矢の譬え
 観念的な議論にふける弟子を戒めるために、釈尊が説いた譬え。“毒矢で射られて苦しんでいる人がいたが、だれが矢を射たのか、矢はどんな材質だったのかが判明しないうちは治療してはならないと本人がこだわったために、そのうちに亡くなってしまった”との譬えを通し、何よりもまず人々の苦しみを取り除く現実の行動に仏教の本義があることを諭した。
 注3 ゼノンのパラドックス
 弁証法の祖と呼ばれるゼノンは、飛んでいる矢も瞬間瞬間の姿を捉えれば、それぞれ空間の一定の位置を占め、静止しているとの逆説を説いた。また、俊足を誇るアキレスと競走するにあたって、前方でスタートを切ることを望んだ亀は、アキレスが亀が最初にいた出発点に着く頃にはさらに先に進み、またそこに着いた時にはその分だけ先に進んでいるというように、アキレスには亀に対し無限に続く遅れがあるために永遠に追いつけないとの詭弁を展開した。
 注4 ミレニアム開発目標
 2000年9月に採択された「国連ミレニアム宣言」などをもとにまとめられた国際社会が達成すべき目標。2015年を目標期限とし、極度の貧困と飢餓の撲滅、初等教育の完全普及、ジェンダーの平等と女性の地位向上、乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康改善など、8分野18項目の達成が目指されている。
 注5 アルキメデスの支点
 「浮力の原理」の発見などで有名な古代ギリシャの科学者で数学者のアルキメデスは、「てこの原理」についても数学的な証明を行った。その原理を彼が象徴的に言い表したものとして、“われに支点を与えよ。しからば地球を動かしてみせよう”との言葉が伝え残されている。そこから転じて、物事を大きく動かすための急所を指す。
 注6 ヒポクラテスの誓い
 古代ギリシャの医師の組合が提唱した倫理規範。医学者ヒポクラテスの見解に基づくものとされ、新しく加入したメンバーは必ず読み、その規範のままに行動することを誓った。その後、近代から現代にいたるまで欧米諸国を中心に医学教育でも採用される中で、文章の改定を経てさまざまな内容のものが存在するようになったが、その底流に流れる精神は今も受け継がれている。

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