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日蓮大聖人・池田大作

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東洋を向く西洋  

「内なる世界 インドと日本」カラン・シン(池田大作全集第109巻)

前後
3  池田 まさにおっしゃるとおりです。今や世界は一つの運命共同体であるにもかかわらず、そのなかでたがいに敵視しあい、戦争を考えているのです。これはまるで、狭い部屋の中で、爆薬を突きつけあっているようなものです。そこに、あらゆる存在はたがいに助けあって生きていくのだという東洋的思考法に立つべき理由があります。
 カラン・シン 未来の重圧を切実に感じて、自分なりに現状への対応に努力している人々は全世界で相当の数にのぼります。北アメリカやヨーロッパで「ニュー・(エイジ・)コンシャスネス(新時代意識)」という運動が広がっていますが、これもその一つの現れです。この運動は実際には何十という個々のグループがその成員なのですが、東洋の哲学に負うところが大きいのです。
 奇妙なことですが、東洋こそこうした地球意識への移行に先鞭をつけると期待されて然るべきだったでしょうに、東洋自体が本質的には西洋的な価値体系と目的観に、はまりこんでいたように思われます。
4  池田 そのような関心事に応え、そこに一つの新しい道を提示するものは、現実の生活や文化・社会のあり方に直接結びつく原理や実践法でなければなりません。
 仏教のなかでも、たんに現実の人生の苦悩から目をそらして死後の極楽往生を説いているだけの教えもありますが、この現実の自己と社会の変革を教えているのが『法華経』なのです。
 カラン・シン いかなる哲学も、真実かつ有効であるためには、人生の物質的側面を等閑視することはできません。ヒンドゥー教もこの点に関してはきわめて明確です。
 ヒンドゥー教は人生の四つの目標を設定しております。それはダルマ(道徳的、精神的価値の枠組み)、アルタ(物質的進歩と幸福)、カーマ(肉体的快楽)、モークシャ(解脱)の四つです。このように、物質的、肉体的側面もそれなりに重要視されております。ただし、そうした側面がダルマという広範な枠組みのなかに収まり、究極的にはモークシャにおいて超克されることをつねに条件としております。

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