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日蓮大聖人・池田大作

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古代インドの宗教と近代ヨーロッパ  

「内なる世界 インドと日本」カラン・シン(池田大作全集第109巻)

前後
5  池田 もっとも、第一次世界大戦後になると、そのころの西欧の虚脱状態を反映してか、東洋の叡智を西洋に紹介したカイゼルリンクは『哲学者の旅日記』という書物の中で、大乗仏教に説かれる菩薩像を高く評価し、世界を変え人間を真に向上させる道は大乗仏教の菩薩の精神しかないとまでいっています。
 私は、寡聞にして、インドの宗教ならびに仏教が近代西洋の哲学・文学思想に影響をあたえた事例については以上のほかは知りませんが、まだまだ西洋文化の底流には、インドからの大きな影響性と交流があったのではないかと思います。
 また、現代先進諸国の精神的頽廃を見るにつけ、今後、東洋の叡智の源泉たるインド文化の西洋への浸透が、ますます要請されていくのではないかと思います。
6  カラン・シン あなたは、近代工業諸国の精神的発展において、いやそれどころか差し迫った災厄から世界を救済するうえでインド文化が果たすべき役割について指摘されましたが、これこそ私の心をとらえている重大関心事の一つです。
 たしかに、仏教ならびにヒンドゥー教を含む東洋の宗教的伝統はすべて、この核時代に生きる人類の生存と福祉にとってきわめて重要な貢献をすることができます。
 池田 かつて私が対談した西洋の多くの識者も、東洋、なかんずく仏法への志向性は一致しておりました。この点については、章を改めて論じあいたいと思います。 

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