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日蓮大聖人・池田大作

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第23回「SGIの日」記念提言 万年の遠征――カオスからコスモスへ

1998.1.26 平和提言・教育提言・環境提言・講演(池田大作全集第101巻)

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60  第二次世界大戦がまさに始まろうという暗雲立ちこめる時代(一九三八年)にあって、「誰かがなすべきである」との言葉は、「問題はそれほど単純ではない」と一対をなす、現状追認しか生まない精神の貧困さに起因する"二つの慣用語"であると、厳しく指弾したのは、戯曲『ロボット』などで有名なチェコの作家カレル・チャペックでありました。
 彼は、人々に訴えました。
 「誰かが溺れているときに、『誰かが水に飛び込んで彼を救うべきである』という理性的意見だけでは足りません。歴史は『誰かが何かをなすべきである』と提案する人よりも、むしろ『何かをしている人』を必要とするのです」
 「過去一千年間に起こった有益な、あるいは重要な事件のほとんどすべては、それほど単純ではなかったのです。もし人間が問題を『それらが単純でない』からというただそれだけの理由で実行不可能と断定するなら、この世には人間の営為の贈り物といわれるものはほとんど存在しなかったことでしょう」(『カレル・チャペックの闘争』田才益夫訳編、社会思想社)と。
 チャペックのこの警告は、現代を生きる私たちにとっても他人事ではありません。まさに、私たちにとって唯一必要なのは、挑戦への「勇気」と現実の「行動」なのであります。
 悪夢のような二十世紀の数々の悲劇を繰り返さないために、現実と格闘しながら堅実なる歩みを進めることによって、なにがしかの「人間の営為の贈り物」を後世の人々に伝え残していくことが、私たちに共通の責務なのであります。
61  さあ、歴史創造の主役は私たち一人一人であるとの強き確信と、あらゆる難関をも恐れない楽観主義をもって、未来への行動を開始しようではありませんか。私どもSGIも、仏法を基調とした平和・文化・教育運動の更なる推進を通じ、世界の善なる人々の連帯の輪を力強く大きく広げてまいりたい。
 トインビー博士が「時間の遠近法」をもって描いたように、後世の歴史家が、"二十世紀末のあの時代こそ、人類史を変革させた大いなるターニング・ポイント(分岐点)であった。民衆が敢然と立ち上がったあの時代こそ、今日の地球文明の方向性を決定づけた瞬間であった"と、必ずや現代を思い返し、語るであろうことを強く確信しながら――。

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