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日蓮大聖人・池田大作

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「5・3」記念代表協議会 語れ! 正義の「声」が社会を変える

2005.4.26 スピーチ(2005.4〜)(池田大作全集第98巻)

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15  「悪と戦い」「新しい味方を増やせ」
 ここで、『プルターク英雄伝』に登場する、古代ローマの一人の指導者を通して、お話ししたい。(『プルターク英雄伝』2、河野与一訳、岩波文庫。以下、同書より引用・参照)
 その名は、「プーブリコラ」。紀元前六世紀に活躍した執政官で、ローマ共和制の基礎を固める上で、大きな功績があった人物とされる。
 彼は、ローマを守るため、数々の戦に勝ちぬきながら、民衆のために、さまざまな法律を制定し、ローマの都を繁栄させていった。プーブリコラという名前は、ローマの民衆が尊敬のしるしにつけたもので、「民衆の世話をする人」を意味する。
 プーブリコラが、ローマに勝利をもたらした要因は、何であったか。
 英雄伝には、種々の出来事が述べられているが、その一つの結論は、″悪人とは徹底して戦い、新しい味方を増やしていった″ことである。単純なことのようであるが、これこそ、古代ローマ以来、現代にも通ずる、勝利のための大原則である。
 プーブリコラは、共和制を破壊しようとする人間たちと真っ向から戦い、ローマから叩き出した。そのやり方は、「悪人たちが言い遁れもできず罰を受けるようになるまで力を尽して」というものだった。悪人たちの巧妙な言い逃れを許さず、妥協もすることなく、全力を尽くして戦い、追放したのである。
 さらにプーブリコラは、「交渉には更に巧みに処して、歯の立たない強敵(中略)を然るべく手なづけて味方に引き入れた」と、英雄伝には書き留められている。プーブリコラが「敵に感じさせた徳性と品位に対する信義」は、じつに大きかったのである。
 第一に、邪悪との徹底的な闘争。第二に、新しい味方を増やす外交。
 これが、勝利を開く根本である。
 とくに、第一のポイントは大切である。悪と戦えない意気地なしではいけない。格好だけで、悪を見て何もしないのは、ずるい人間である。それでは同志を守ることはできない。悪と戦い、敵を打ち負かさない限り、勝利はない。その急所を外してはならない。
 古代ローマの英雄の話から、深い教訓を汲み取っていただきたい。
16  私が青春時代に愛読した革命小説『永遠の都』(ホール・ケイン著)は、ローマを舞台にしている。主人公ロッシィは、革命に生きる自身の心境を、こう語る。
 「常に断崖の縁を歩いてきた人間にとって、最大の緊急事態も、いわば日常茶飯の出来事にすぎません」(新庄哲夫訳、潮出版社)
 何があろうと、動じることなく、まっしぐらに突き進むことだ。私たちも、この境涯でいこう!
 以上で、私のスピーチを終わります。長時間、ありがとう!
 皆さまのご一家の、無事・安穏・繁栄を、心からお祈りします。
 どうか、風邪をひかれませんように。本当にありがとう!
 (創価文化会館)

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