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日蓮大聖人・池田大作

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全国最高協議会(7) 心を結べ! すばらしき出会いで

2004.8.1 スピーチ(2004.1〜)(池田大作全集第96巻)

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4  ここで、中国の大文豪・魯迅先生の言葉を紹介したい。
 魯迅先生は、どこまでも民衆の味方であった。ゆえに先生は、民衆をいじめる邪悪な人間を容赦なく責めぬいた。あるとき、無責任な評論家たちが、弱い立場の人を誹謗する記事を書いた。魯迅先生は烈火のごとく怒り、反撃の一文をつづったのである。
 「もし暗黒の主力に対しては、一言も発せず、一矢も放たず、それでいて『弱者』に向かってはあれこれ文句をつけるのだとすれば、いかに正義面をしていようとも、私は言わざるを得ない――ほんとうにもう我慢できない――彼は実は殺人者に力を貸す者にほかならない、と」(「秦理斎夫人事件について」丸山昇訳、『魯迅全集』7所収、学習研究社。原文は、引用部分すべてに傍点)
 暗黒の主力、つまり社会の暗黒を生みだす根源の問題には、何も言わないのに、弱い人間に対しては、あれこれ文句をつけ、それで自分が、あたかも正義であるかのように偉ぶっている。そんな人間は「言論」にたずさわる資格などあるものか! 悪人に手を貸す者であり、共犯者と同じではないか!――こう魯迅先生は叫んだのであった。
 創価の父である牧口先生は指導された。
 「言わなければならないことを言えないような臆病の者は、大聖人の弟子にはなれない」と。
 この邪悪を許さぬ闘争精神こそ、学会精神でなければならない。
 魯迅先生は、こうも述べている。
 「少しばかり勝利を得ると、凱歌の中に酔いしれ、緊張を失い、進撃を忘れる。そこで敵はまた、隙に乗じて立ち上がるのである」(「滬寧奪回祝賀のかなた」須藤洋一訳、同全集10所収)
 敵を忘れるな!――ここに常勝の方程式がある。いかなる組織も、最高幹部に油断や慢心があれば、魔のつけ入る隙を与えてしまう。
 勝った時こそ、次の勝利の因をつくるのだ。「勝利の喜び」を「追撃の勢い」に変えていくことだ。
5  「真実は人間を結合させる力」
 さらに、古今の英知に学びたい。ドイツの哲学者カントは述べている。
 「我々は自分の力を試めすことによってのみ、初めて自分の力というものを知るようになる」(『判断力批判』上、篠田英雄訳、岩波文庫)
 初めから、しりごみしていたら、何ひとつ、成し遂げることはできない。大胆に、勇敢に、自分の力を試すのだ。試す舞台は、いっぱいある。
 何度もお会いし、語らいを重ねた、ヨーロッパ統合の父クーデンホーフ=カレルギー伯爵はつづっている。
 「真実は人間を一つに結び、結合させる力を持っている。真実は錯誤と虚偽が人間同士の間に設けた柵を破壊する」(『倫理と超倫理』、『クーデンホーフ・カレルギー全集』3〈鹿島守之助〉所収、鹿島研究所出版会)
 そのとおりである。真実に勝る力はない。真実の前では、いかなるウソも一瞬にして消え去る。
 正義と真実のスクラムを、いよいよ強めてまいりたい。
6  戸田先生は、厳粛な場で、青年が居眠りなどをしていると厳しかった。
 「寝るなら墓場で寝なさい。あっという間に終わる人生ではないか。何をしているんだ!」と。
 また古代ギリシャの哲学者プラトンは、「睡眠を取りすぎることは、わたしたちの身体にも魂にも、またこれらすべての公私の活動にも、ほんらい調和しないのです」(『法律』下、森進一・池田美恵・加来彰俊訳、岩波文庫)とつづっている。
 限りある人生である。一日たりとも、一瞬たりとも、ムダにしては損である。もちろん、睡眠は大事である。規則正しい生活と睡眠は、健康の基本である。偉大な目的に向かって、生き生きと、聡明に、価値創造の日々を送っていきたい。
7  「恩知らずになるな!」とは、戸田先生の遺言の一つであった。
 イギリスの劇作家シェークスピアは、劇中の人物に、次のように語らせている。
 「恩知らずってやつは恐ろしい化け物だ」(「コリオレーナス」、『シェクスピア全集』3〈小田島雄志訳〉所収、白水社)
 恩知らずほど恐ろしいものはない。世間においても、仏法においても。
 虚栄におばれた人間ほどみじめなものもない。これまでも、学会の力で偉くなりながら、恩を忘れ、虚栄におばれ、信心を失い、哀れな末路をたどっていった人間がいたのは、ご存じのとおりだ。
 さらに戸田先生は指導された。
 「所詮、現代の政治も、魔の問題に帰結する。魔は、政治を支配するもの、政治家の内にこそ潜んでいる。
 すべての人間は、十界を有しているとする仏法の真理を仰ぐとき、魔の正体は初めて明らかになる。政治権力の魔性も、人間生命の実在の姿に焦点を合わせたとき、初めて知ることができる」
 権力の魔性も、人間生命に巣食う。ゆえに、より根本的には、政治を変えるには「人間を変革する」しかないのである。
8  愛する同志を守りぬく!
 イギリスの詩人ジェームズ・トムソンは詠んだ。
 「悪の野獣にここぞと付け込ませ、/然るべき懲罰を免れると思わせてはならぬ。/『正義』は厳しく、安易に容赦しない」(「無為城」、『ジェームス・トムソン詩集』〈林瑛二訳〉所収、慶應義塾大学出版会)
 正義は悪を安易に容赦しない――よくよく胸に刻んでいきたい言葉である。
 フイリピン独立の英雄ホセ・リサール博士の言葉にこうある。
 「我々に与えられてきた数々の侮辱に対し、あくまでも戦うつもりです」(カルロス・キリノ『暁よ紅に』駐文館訳・発行)
 広布を破壊し、学会を破壊する仏敵とは、あくまでも戦う。愛する同志を断じて守りぬく――それが牧口先生、戸田先生の精神であったし、私の精神である。
 ここに創価の三代の魂があることを知っていただきたい。
 (長野研修道場)

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