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日蓮大聖人・池田大作

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サンマリノ共和国「サンタ・アガタ大十字… 苦労こそ宝! 君よ「勝利の太陽」と輝け

2001.9.8 スピーチ(2001.8〜)(池田大作全集第93巻)

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4  サンマリノ市民の叫び「自由とは恐れないこと!」
 新世紀を担いゆく青年が、貴国の歴史から学ぶべき教訓と指針は、あまりにも大きい。
 今から七百年ほど前、「自由とは何か」と尋ねられた、貴国のある市民は、こう答えたと言います。有名な話です。(以下、ジョジェッペ・ロッシ『サン マリノ共和国』菅博、マンリオ・カデロ訳、日商データバンク、参照)
 「自由とは、だれびとをも恐れないことだ」と。
 自由の本質と真髄を突いた言葉として、今日まで残っています。
 そのとおりに、貴国のけなげなる市民の連帯は、いかなる傲慢な政治権力の弾圧にあっても、宗教の「破門」などの仕打ちにあっても、人間の魂の自由のために、断固として戦い、厳然と勝ちぬいてこられました。
 貴国を敬愛するナポレオンが、貴国の領土の拡張を提案したことも、有名な史実であります。
 ところが、誉れ高き貴国の先人たちは、その申し出を、きっぱりと断りました。
 他者の犠牲の上には、みずからの幸福や繁栄を築かない――貴国は、共和国としての、この尊厳を、毅然と選び取ってこられたのであります。
 さらに、″善良かつ強い″市民の集まりである貴国は、歴史を通じて、災難や圧政に苦しむ人々に大きく門戸を開き、一度たりとも拒絶せずに迎え入れ、あたたかく保護してこられたといいます。
 第二次世界大戦において、当時、人口一万五千人ほどの貴国が、なんと十万人以上もの避難者を受け入れ、少ない食糧を分かちあいながら、守りぬかれたことも、まことに名高い史実であります。
 この史実を読んで、滂沱の涙を流した学者もあったと聞いております。そうしたなかにあって、慈愛の医師たちの献身の活躍も光っておりました。
 きょうは、わが創価のドクター部の代表も出席されております。ドクター部の皆さん、いつも本当にありがとうございます。(拍手)
5  今、日本の社会には、陰湿ないじめや、凶悪な暴力などが渦巻いています。だんだん悪い国になってきました。
 しかし、そうした時代の濁りに、未来部の皆さんは、絶対に染まってはならない。負けてもならない。人がどうあれ、世間がどうあれ、まず自分自身が、強くまた強く、賢くまた賢く、朗らかにまた朗らかに生きぬいていくことであります。そして、悩んでいる友の味方になってあげることです。それが、「師子の心」をもった立派な人間の姿です。
 サンマリノ共和国の歴史のごとく、困っている人、苦しんでいる人に手を差しのべていく勇気と慈愛を持つことです。それが、人間としてもっとも尊いことです。そしてこれこそが、師子の集いである創価学会のお父さん、お母さんたちの精神であったのであります。
6  貴国が、なぜ千七百年もの間、自由と独立を貫いて、栄えることができたのか。
 この重要な問題を、今まで多くの歴史家が分析し、探究してきました。その理由の一端は、「さまざまな苦難や試練を、市民がともに分かちあい、耐えて耐えぬいてきたからである」と結論されているのであります。
 要するに、苦労しぬいたところが、もっとも偉大になる。苦労しぬいた人は、決して負けない。最後には栄えていく。青春も、人生も、この方程式は同じです。
 以前、私たちが開催した大ナポレオン展には、歴史の宝庫である貴国の博物館から、金色に輝く貴重な騎士の「兜」と「鎧」を出品していただきました。それはそれは、見事な光沢を放っておりました。今でも忘れません。
 仏法では「忍耐の鎧を着けよ!」と説いております。どうか皆さんは、気高き使命の青春にあって、徹して忍耐強く、徹して辛抱強く、真実と誠実と堅実の大道を歩み通していただきたい。
 そして、学びに学び、努力に努力を重ねて、汝自身を難攻不落の「正義の大城」に、「哲学の大城」に、そして「勝利の大城」に築き上げていただきたい。これが私の、強い強い念願であります。
 皆さん、きょうはこのことを約束しましょう!
 この未来部のなかから、必ずや、将来の学会の最高首脳も出ます。また社会のあらゆる分野の最高リーダーも陸続と育っていくと、私は断言しておきたい。
7  九月八日に刻んだ平和の歴史
 きょう九月八日は、地球民族主義を掲げられた戸田第二代会長が四十四年前、「原水爆禁止宣言」を、高らかに発表された日です。(一九五七年〈昭和三十二年〉、横浜の三ツ沢競技場で)
 とともに、弟子である私が、さまざまな妨害や非難のなか、世界の平和と安定を願って、「日中国交正常化」の提言を行ったのも三十三年前のこの日でありました。(一九六八年)
 さらにまた、その六年後のこの日、私は多くの反対を振り切って、「そこに人間がいるから、私は行く」と宣言し、中国に引き続いて、共産圏だった旧ソ連のモスクフに、第一歩を印しました。(一九七四年)
 九月八日は、学会にとって、まことに重要な歴史の日であります。
 そしてきょう、サンマリノ共和国から大切なお客さまをお迎えすることができ、また一つ、新たな歴史を刻むことができました。
 ともあれ、このようにして、一つまた一つと蒔いてきた人間主義の交流の種が、今、大きな大きな平和と文化と教育の結実を勝ち取ったと、私は申し残しておきたい。「種を蒔く」ことです。「行動」を起こすことです。
8  昨日、光栄にも、両執政ご一行は創価大学を訪問してくださいました。ロンフェルニーニ執政は、すばらしい講演をしてくださり、「地球村における連帯と共生」を高らかに呼びかけてくださったのであります。心から賛同し、感謝申し上げます。
 世界の模範の共和国の大指導者とご一緒に、私たちは「人間共和」の新たな地球社会の大建設に、ともどもに朗らかに、勇んで前進しゆくことを、ここに約束しあいたいと思うのであります。
 なお、未来部の皆さんは、将来、必ず偉くなって、お父さんやお母さんを、また、親がいらっしゃらない人は、自分がお世話になった人を、世界一のすばらしい平和の国、サンマリノ共和国ヘも連れていってあげていただきたい。皆さん、きょうは、このことも約束しましょう!(拍手)
9  結びに、イタリアの偉大なノーベル賞詩人カルドゥッチは、名スピーチ「永遠の自由」の中で、貴国をこう讃嘆しました。
 「君に栄光あれ! おお、有徳にして寛大な、信頼する、古の共和国よ!」
 この言葉のままに、私は貴国の永遠不滅の栄光を、心の底からお祈り申し上げます。
 そして、貴国と世界の青年の「勝利の太陽」が、二十一世紀の人類を、永遠の自由へ、永遠の平和へ、赫々と照らしゆくことを、祈りに祈って、私の心からの御礼のごあいさつとさせていただきます。
 グラッチェ(イタリア語で「ありがとう」)! グラッチェ!
 (創価国際友好会館)

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