Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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全国最高リーダー会議 「秘めたる力」をすべて出しきってこそ

1999.10.8 スピーチ(1999.10〜)(池田大作全集第91巻)

前後
7  ダ・ヴィンチは、民衆から遊離し腐敗していった宗教の権威に対して、鋭く糾弾している。彼は、多くの聖職者が、「詐欺と取引し、奇跡をたくらみ、無知な大衆を愚弄している」と喝破した。(加茂儀一『レオナルド・ダ・ヴィンチ伝――自然探究と創造の生涯』小学館)
 そして、″修行や勤労、貧しき生活、貧しき人々を放棄して、立派な宮殿に住み、ぜいたくを尽くす傲慢な聖職者が、おびただしく現れるであろう″と警鐘を打ち鳴らしている。これは、西洋の宗教改革に先駆けての言葉であった。
 ダ・ヴィンチの有名な言葉に、こうある。
 「悪を罰しないものは悪をなせと命じているのだ」(前掲『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』上)と。
 悪を傍観する人間は、″もっと、やれ″と悪に命令しているのと同じである。この正しき道理を、私どもも忘れてはならない。
8  二十一世紀の新たなルネサンス人に
 約二十年前、私は、フランスの美学者ルネ・ユイグ氏と対談集を編んだ(『闇は暁を求めて』と題して講談社から刊行。本全集第5巻に収録)。氏は、ナチスから「モナ・リザ」をはじめ美の宝を守った闘士でもある。対談では、ダ・ヴィンチのことも話題になった。
 ユイグ氏は、「『モナ・リザ』の微笑と仏陀の微笑のあいだに、ある種の関係がみとめられる」と言われ、ダ・ヴィンチが東洋についても知識をもっていたことを「注目すべきこと」として強調しておられた。
 また、ユイグ氏と私は、「西暦二〇〇〇年の人間像」について展望した。
 ヨーロッパ最高峰のエスプリ(精神)であったユイグ氏いわく。
 「西暦二〇〇〇年の人間は、立ち向かうべき問題の困難さに刺激され、そのあふれる意識に高められて、宗教改革やルネサンスの人間たりうるでしょう」と。
 要するに、押し寄せる困難に雄々しく挑み、戦い続けていくことによって、新しき「ルネサンス人」「宗教改革者」として、二十一世紀の舞台に立ち上がっていく。それが、西暦二〇〇〇年を生きる人間の使命であるということである。
 ユイグ氏は二年前に逝去された。最後まで私との友情を大切にしてくださり、奥さまから貴重な遺品も頂戴した。
9  ルネサンス――。
 それは、人間の無限の可能性を信じ、「わが秘めたる力」のすべてを開こうと、怯まずに挑戦していった「人間の春」の象徴である。
 わが生命が、どれほど偉大な「慈悲」と「創造力」に満ち満ちているか。
 その「生命の無限の力」を存分に輝かせていく「二十一世紀のダ・ヴィンチ」たれ! と念願して、記念のスピーチとしたい。(創価文化会館)

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