Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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関西代表者会議 「新しき波」を起こしゆく使命の道を

1997.5.17 スピーチ(1997.5〜)(池田大作全集第88巻)

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5  中国の知恵「人はだまされやすい」
 御書に「市の中の虎」という言葉がある。(伝教大師の言葉を数カ所で引用されている)
 末法において、戒律を持った聖人のような人間はいない。そんな「人間以上の人間」にみせかける悪い僧侶は、「町の中に虎がいる」ようなもので、ありえない――ウソである。だまされてはいけない! たぶらかされるな! という意味である。
 中国に、こんな話がある。
 ある国(魏)の王子が大国(趙)に人質にとられることになった。
 王子とともについていく忠臣が、出発の前に王さまに言った。
 「王さま、今、一人の人間が『市場に虎が現れた!』と言ったら、それを信じますか?」
 「いや、信じない」と王さま。
 「では、二人の人間が、『市場に虎が現れた!』と言ったら、王さまはそれを信じますか?」
 王は「『もしかしたら』と疑うだろう」と。
 「それでは三人の人間が『町に虎が現れた!』と言ったら、王さまは信じますか?」
 「うん、それならば、わしは信じるだろう」
 忠臣は、そこで言った。
 「そもそも、市場に虎が出るはずがありません。それにもかかわらず、たった三人の者が口をそろえて言っただけで、虎が現れたことになってしまうのです」
 ――それほど人間はだまされやすい。自分で考えてみようとしない。
 忠臣は「王さまは、私が、この都を離れて遠くへ人質になって行ってしまうと、私の悪口をたくさん聞くでしょう。私をおとしいれようという人間は、三人どころではありません。しかし、絶対に信じないでください」
 王さまは「わかった、だまされない」と約束したが、やっぱりだまされてしまい、忠臣は迫害されることになった。
 『戦国策』(紀元前一世紀の書)に出てくる話である。(「戦国策」の魏の巻から)
6  全国の配達員の皆さま、毎日、本当にありがとうございます。
 アメリカ・ルネサンスの作家、ソローは「森の生活」(神吉三郎訳、岩波文庫)の中で、次のような趣旨を書いている。
 ――朝こそは神聖な時である。朝こそは汚れなき時間である。
 朝は、他の時間には眠っている我々の内部の″気高い魂″を目ざめさせる。
 朝は、英雄たちの時代をよみがえらせる。
 インドの聖典にいわく「すべての智慧は朝とともに目ざめる」
 中国の古代の王いわく「日に新たにして、日に日に新たなり」
 朝!
 天体の奏でる音楽の波、大気をみたす香り。
 朝、太陽とともに歩む者は、前の晩よりも一層高い生活へと目ざめる。
 その人の人生こそ「上り坂」の人生である!――と。
7  配達員の皆さまこそ「朝」の気高さと美しさを知る方々である。「太陽とともに歩む」方々である。「日に日に新たに」進歩する方々である。皆さまの人生こそ、一歩一歩が「上り坂」の人生である。大変であるが、一歩一歩、歩むたびに視界が開けてくる人生なのである。
 最後に、西口関西長を中心に、今再び二十一世紀へ向かって、大関西の新しき太陽よ、赫々と昇りゆけ! と申し上げ、私のスピーチとしたい。
 (関西文化会館)

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