Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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東海道最高会議 だれが本当の「民衆の味方」だったか

1995.7.12 スピーチ(1995.5〜)(池田大作全集第86巻)

前後
6  牧口先生、戸田先生が日本のファシズムと獄中で戦っていたころ、ヨーロッパ各国でもファシズムと戦った民衆がいた。炎の青年たちがいた。
 イタリアのレジスタンスも壮烈に戦った。自国のムッソリーニ。そしてドイツのヒトラー。独裁者と勇敢に戦い、その多くは捕らえられ処刑された。
 ある二十七歳の青年(イニャツィオ・ヴィアン)は、獄中で二つの言葉を遺した。(以下『イタリア抵抗運動の遺書』冨山房百科文庫。参照)
 彼は一九四四年四月、密告によって逮捕され、拷問されたが屈しなかった。彼は七月に、ドイツ軍によって絞首刑にされた。
 二つの言葉のうち、ひとつは独房の壁に血で書かれていた。
 「裏切るよりは死ぬほうがよい」(同前)
 何と荘厳な黄金の言葉であろうか。同志を裏切れば人間以下になる。いわば畜生界になってしまう。畜生として生きるよりも人間として死にたい──と。
 もうひとつの言葉は、独房で見つかったパンに書かれていた。
 「ママ 勇気を」(同前)と。
 死を前に、彼は遺される母を励ますことを一心に考えていたのであろう。このパンは、家族のもとに保管されているという。
7  歴史は「人間性の勝利」へ向かう
 彼は死んだが、彼の崇高な魂は生き続けている。生きて、人々に烈々たる「勇気」を送り続けている。
 一人の青年が生命を燃やし尽くせば、その灼熱の光芒は、いかなる闇をも焼き滅ぼす。未来を「人間」の光輝で照らし出すのである。
 彼らが命をかけて証明した教訓は、こうも言えよう。
 「暴力で、歴史の流れを変えることはできない。一時的に逆流を起こすことができたとしても、結局、歴史は〈人間性の勝利〉の方向に必ず向かう」と。
 その勝利の最前線におられるのが皆さまである。皆さまの営々たる努力また努力の尊さを、必ずや歴史が証明するにちがいない。
 その自覚で、日々を貫いていただきたい。その誇りで人生を飾っていただきたい。
 今日から明日へ「より健康」で「より充実」の前進をと念願し、祝福のスピーチとしたい。

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