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日蓮大聖人・池田大作

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各部代表者協議会での語らい 世界で今、「人間革命」がキーワード

1993.12.7 スピーチ(1993.12〜)(池田大作全集第84巻)

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9  次にご紹介するのは、日本の著名な文学研究者からの所感である。
 この方は「『新・人間革命』が始まって、私も毎日、楽しみに読ませていただいています。前編の『人間革命』と同様、長期の連載とうかがっております。どうぞ、くれぐれも、お体を大事にしていただきたいと思います」と励ましを送ってくださった。
 読み終えると必ず切り抜いてとじてくださっているという。
 さらに、こんなふうに語っておられた。
 「『新・人間革命』は『平和ほど、尊きものはない。平和ほど、幸福なものはない』という象徴的ともいえる一節で始まりましたが、恐らく私はここに著者の信念が凝縮していると思います。
 池田名誉会長は戦争で、一番上のお兄さまを亡くされていますね。私も学徒出陣の世代で、名誉会長の思いが痛いほど分かります。とくに戦没学生の手記の編集に携わって、彼らの死を絶対に無にしてはならないという気持ちです」
 「創価学会には″平和思想″が草創以来、貫かれています。初代の牧口会長は、神道イズムに反対し、戦争に真っ向から対決し、殉教された。戸田第二代会長も同様、牢獄に入られた。
 戦後、池田名誉会長も、えん罪(無実の罪)で投獄されています。
 私は三人の生き方を通して、″平和″を守るために、投獄されることも辞さず、死をも恐れず、というその毅然たる行動に″大宗教人″の姿を見る思いがします。
 今年は牧口初代会長の五十回忌で、八王子に東京牧口記念会館を建設されて、遺徳を顕彰されましたが、牧口先生も、今日の発展を心から喜んでおられるでしょう」
10  ルネサンスは″羽ばたく魂の時代″
 「私はつねづね、大正リベラリズム(自由主義)の生き生きした思想の流れが、牧口初代会長、新渡戸稲造博士らに受け継がれ、それが今日、創価学会のなかに″人間革命″の実践という形で見事に結実しているように思っているのです。
 名誉会長は、この″人間革命″の思想を現代において、普遍的なヒューマニズムの立場から訴えておられる。しかし、一方には、非常に閉鎖的な民族主義のカベが、根強くある。これをどう乗りこえていくかが、人類の課題です」
 「考えてみれば、宗門問題も同じと思う。宗門は古いカラに閉じこもっていますが、これは閉鎖主義の最たる姿でしょう。
 創価学会は未来を見すえて、この問題を『平成の宗教改革』と位置づけられた。そして、僧侶支配の″権威宗教″から脱皮して、″民衆宗教″の時代を開くことに成功された。その結果、個人個人が信仰の内面化、深化をはかることができた。これも″人間革命″の実践です」
 「今世紀末から二十一世紀を展望するとき、これからの時代を開くキーワードは、私は″人間革命″しかないと思うのです。結局、各人の″内面の確立″しかないと思います」
 「これは余談ですが、私は戦中派ですから、あの混乱期に、私たちが読んだ作品に太宰治の『人間失格』があります。太宰治は戦前戦後のあの世相にあって、自らの内面の軌跡を『人間失格』として発表したわけです。
 私は″人間革命″の対極にあるものとして、太宰の″人間失格″を想像し、比較対照するのです。
 細かい点は省きますが、″人間革命″という言葉からは、ものごとを明るい方向へと展開していく希望を感じます。これからは、あらゆる面で″人間革命″が、時代的・社会的要請となるでしょう。
 来年(平成六年)、学会は『創価ルネサンス・栄光の年』とうかがっていますが、ルネサンスということ、また一人一人が栄え光るという栄光の意義づけも、いいですね。
 現代は、まさにルネサンス、すなわち″人間が蘇る時代″です。″羽ばたく魂の時代″といってもいいでしょう。その意味からも、私は創価学会に大いに期待しています。池田先生の御健勝と御活躍を心よりお祈りしております」
 代表して私に寄せられた声になっているが、全部、皆さまへの期待であり、学会の全同志への期待である。その意味で、ありのままに紹介させていただいた。
 行動すれば波が起きる。当然、反動の波、嫉妬の波もある。しかし、それらは歴史の「明日」へ向かって進む民衆の大航海の前には、やがて、うたかたのごとく消えてしまう。
 私どもは、世界の良識が等しく寄せる称賛の波を「励まし」と受け止め、いよいよ確信をもって、堂々と、人間主義の航路を進んでまいりたい。
 (東京・新宿区内)

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