Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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中欧・東欧・ロシア合同会議 「魂の変革」こそ最も尊き変革

1992.6.12 スピーチ(1992.6〜)(池田大作全集第81巻)

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6  ″幸福の大樹″へ信心の根を深く
 先日(六月四日)、南アフリカのデクラーク大統領とお会いし、大統領から丁重なご招待をいただいた。いつの日か、必ず訪れたいと願っている。
 南アフリカは世界の植物園といわれるほど、植物が豊富であるが、そのなかでも有名な美しい木の話をうかがったことがある。
 それは、スウィート・ソーン(甘いとげ)という名前で、アカシアの木の一種である。その名のごとく、開拓時代、甘い分泌物は砂糖がわりに使われ、また、白いトゲは針のかわりに利用された。また、樹皮はロープに、木材は荷車の部品に、葉とさやは食用として用いられるなど、人々を育み、助けてきた木である。民衆の、この木に寄せる愛情は、民謡の中でも歌われている。
 この木は、砂漠の中で、一本でも厳として生長していく。したがって、地図のうえで、丘や村のように、大切な目印ともなってきた。
 では、なぜ砂漠の中でも生えることができるのか。
 それは言うまでもなく、根を深く張っているからである。水のない砂漠の土壌から、少しでも水分を吸収していくために、実に五十メートルから六十五メートルの深さにまで、根を伸ばしていくといわれる。
 目に見えないところで、たくましく、また、たくましく根を張っていくからこそ、砂漠のような過酷な環境の中でも、堂々と生き抜き、人々に安らぎと喜びを与えることができる。
 人生も、また同じであろう。どんな悪条件下におかれても、そこを自分の使命の天地と定めて根を張っていく。その人が勝利者である。愚痴を言っても、はじまらない。いわんや「娑婆即寂光しゃばそくじゃっこう」という妙法の法理を抱いた皆さま方である。絶対に負けてはならない。退いてはならない。臆してはならない。
 皆さまの信心即生活の一日一日の行動は、自身のゆるぎない「三世の勝利」の根、「幸福」の根となっていく。そしてまた各国の万代の繁栄の根となっていくことも、間違いない。
 一本の″勝利の大樹″がそびえれば、その周りに、種をまき、仲間を増やしていけるのが道理である。一本の大樹が大切なのである。皆さまは、その大樹となっていただきたい。
7  最後に、「撰時抄」の一節を拝したい。
 「衆流あつまりて大海となる微塵つもりて須弥山となれり、日蓮が法華経を信じ始めしは日本国には一たい・一微塵のごとし、法華経を二人・三人・十人・百千万億人・唱え伝うるほどならば妙覚の須弥山ともなり大涅槃の大海ともなるべし仏になる道は此れよりほかに又もとむる事なかれ
 ──多くの流れが集まって大海となる。わずかの塵も積もって須弥山(古代インドで世界の中心にあるとされる最高の山である)となったのである。日蓮が法華経を信じ始めたことは、日本の国にとっては、一つのしずく、一つの微塵のようなものである。やがて二人、三人、十人、百千万億人と、唱え伝えていくならば、妙覚(最高の悟)の須弥山ともなり、大涅槃という悟りの大海ともなるであろう。
 仏になる道は、これよりほかに、また求めてはならない──。
 この御書を虚妄にすることなく、現実に、一閻浮提広宣流布を進めておられるのは皆さま方しかない。そして、大聖人が「百千万億人」と仰せのごとく、次の世紀には、絢爛たる地涌の人華にんげが地球を包みゆくにちがいない。その原点となるのが、皆さまである。
 ″御本仏の直系″の誉れも高く、一人一人の友を、最大に大切にしながら、仲良く、朗らかに、「大いなる希望」の道を進んでいただきたい。
 また、お会いしましょう。きょうは遠いところ、本当にありがとう。おめでとう!

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