Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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沖縄・世界平和祈念勤行会 勝利の歴史、幸福の歴史を残せ

1991.2.3 スピーチ(1991.1〜)(池田大作全集第76巻)

前後
17  ふたたび花の季節がやってきた。バラたちは、青空に頭を上げ、さわやかな光と風を思う存分、楽しんでいる。
 すると、また例のカタツムリがやってきた。そして下のほうから陰気な声で語りかける。
 「バラのおばさんたちよ、だいぶ年をとったね! 世の中のために、花なんか咲かせて、そんなに一生懸命――何かいいことがあったのかね?」
 口を開けば、いやみなことしか言わない、こんなカタツムリに似た人はいるものだ。
 するとバラは、軽くいなしながら答える。
 「むずかしいことは、よくわかりませんわ。ただ私は、楽しく、思う存分生きてきましたの。お日さまは優しく、暖かいし、空気はおいしいし、雨だって喜びでしたわ。
 私たちは幸せなんです。広い緑の野原を見ながら、ただうれしくて咲いているんです! 大きく息を吸い込むと、土のなかから力がのぼってきます。空からも力がおりてきます。幸福で、うれしくて、私たちは歌っているんです!」
 威張ってばかりいるカタツムリは、そんなバラたちがうらやましくてたまらない。いやみを言うのも、バラたちへの″ねたみ″でもあったようだ。
 しかし、バラたちは、朗らかに、優しく聞いた。
 「でも、あなたは、そんなに偉いのだから、きっと私たちよりも、ずっと幸せなんでしょう?」
 「そんなに偉いあなたは、何を世の中に与えたのですか?」
 「皆のために何をなさったの?」
 バラたちの質問攻めに、カタツムリは、ただ口ぐせを繰り返す。
 「世の中なんて、関係ないよ! 俺は俺で何でもできるんだ」
 こう言ってカタツムリは、また自分のカラに閉じこもり、入り口を塗りこめてしまった。バラたちは、その姿を見おろしながら、哀れんで言った。
 「悲しいわ! 私たちはカラの中に閉じこもるなんてできない。いつも外に出て、花を咲かせていたい! そして、世の中のだれかのためになりたい! それが幸福なのよ!」
 こうしてバラは幸せに咲き続け、カタツムリは″家″の中で、世の中の悪口を言いながら、つばをはき続けていた。――アィアルセンの童話は、これで終わっている。
18  アンデルセンは、静かに「どっちの生き方がいいと思いますか」と問いかけているようだ。
 世間を軽蔑しているつもりで、軽蔑されているカタツムリ。自分の不幸を、不平、不満に変えて、人にぶつけては、ますます不幸になっていくカタツムリ。それよりは、広々とした野原で太陽とともに咲き誇り、人々を幸せにしようと健気に願っているバラたちのほうが、どんなにか美しくて、幸福ではないでしょうか――と。
 ″威張りんぼ″のカタツムリや、人の幸福をうらやむカタツムリは、どこの世界にもいる。そんな哀れな人たちの言葉など気にすることはない。悠々と見おろしていけばよい。そして、顔を「太陽」の希望の光に向けて、堂々と生きていけばよいのである。
 私どもは、「法」のため、「人」のため、「社会」のために、広布に生きぬいている。その行動のなかで、福徳の花が爛漫と咲き薫る幸福の園を開いているのである。これほど尊く、充実した、誉れの人生はない。
 「平和原点の地」の沖縄である。人類を悲惨と不幸から解放しゆく平和の光を、この沖縄の地より全世界へと送っていただきたい。皆さま方のご多幸とご長寿、そして栄光の活躍を心から念願し、私のスピーテとしたい。
 (沖縄研修道場)

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