Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第三回SGI世界青年研修会修了式 世界は「生死の哲学」を待望

1990.10.14 スピーチ(1990.8〜)(池田大作全集第75巻巻)

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15  「立正安国」の精神を時代へ、社会ヘ
 さて日達上人は、私の『立正安国論講義』に寄せてくださった「序」のなかで、安国論の御文を拝されながら、「仏法」と「国家」の関係について、一般世間の人々の考えと、日蓮大聖人のお心の違いを明快に述べられている。
 まず「所詮しょせん天下泰平国土安穏は君臣の楽う所土民の思う所なり、(中略)先ず国家を祈りてすべからく仏法を立つべし」――天下の泰平、国土の安穏は、君臣、万民の願うところである。(中略)まず、国家の安穏を祈って、しかるのちに、仏法を立てるべきである――と。
 つまり、一般世間の人々は、まず国家を第一と考え、仏法を次にしているのである、と。それに対して、大聖人のお心はどうかといえば、次の御文を示されている。
 「早く天下の静謐せいひつを思わばすべからく国中の謗法ほうぼうを断つべし」、「汝早く信仰の寸心を改めて速に実乗の一善に帰せよ、然れば則ち三界は皆仏国なり仏国其れ衰んや十方はことごとく宝土なり宝土何ぞ壊れんや、国に衰微無く土に破壊無んば身は是れ安全・心は是れ禅定ならん、此の詞此の言信ず可く崇む可し
 ――「一刻も早く天下の泰平を願うならば、まず何よりも国中の謗法を断つべきである」「いまやあなたは、一刻も早く邪法信仰の寸心を改めて、実乗の一善に帰依しなさい。そうすれば、すなわちこの三界は皆仏国である。仏国であるならば、どうして衰微することがあろうか。十方の国土はことごとく宝土である。宝土であるならば、どうして壊れることがあろうか。国に衰微なく、国土が破壊されることがなくなれば、身は安全となり、心には何の不安もなくなるのである。この言葉は心から信ずべきであり、崇めるべきである」――と。
 つまり、仏法の真実の精神は「どこまでも正法流布に依って、国も栄え、人も栄えるとの御精神である」と。そして、この二つを対比させながら、次のように述べられている。
 「先年、会長池田大作先生が、かの英国の哲学者トインビー氏としばしば論談せられたことがあった。(中略)
 トインビー氏は此の前者(=一般世間の見方)の『先ず国家社会を立派に形成することにより、人心は安泰である』と論じ、池田先生は此の後者の、正法による人心の安泰によりて国家社会は栄えると論じたと聞いておる。此れこそ池田先生が立正安国論の精神を、常に身心に受け持っておる所以であると私は敬服しているのである」
 「立正安国論は古今を通じての本仏の心であり、資生ししょう、安国の基本の書である。それ故に時代、時代に従ってその時の人びとに解し易く、現代的に註釈されてこそ有意義であると思う。
 故に、安国論を十分にマスターせられておる池田先生に依っての註釈書の発刊せられることに、深く感謝の意を表するのである」
 過分なる称讃の言葉をいただき恐縮であるが、ともあれ、仏法の精神をいかに時代に開き、社会に脈動させゆくか。ここに「広宣流布」「立正安国」の理念を実践する、われわれの重大な使命がある。
 また、世界の平和と人類の幸福のため、今ほど仏法の哲理が希求されている時はないといえよう。どうか諸君は、この「立正安国」への大道を、私とともに闊達に歩んでいただきたい。(拍手)
16  堂々たる福徳の人生飾れ
 最後に重ねて、大聖人が南条時光(当時十七歳)に与えられた御文を拝したい。
 「亦於現世得其福報の勅宣・当於現世得現果報の鳳詔ほうしょう・南条の七郎次郎殿にかぎりて・むなしかるべしや、日は西よりづる世・月は地よりなる時なりとも・仏の言むなしからじとこそ定めさせ給いしか、これをもつて・おもうに慈父過去の聖霊は教主釈尊の御前にわたらせ給い・だんな檀那は又現世に大果報をまねかん事疑あるべからず
 ―!″現世にその福報を得る″という如来の言葉や、″必ず現世に現実の果報を得る″という法華経の経文が、南条七郎次郎(時光)殿に限って空しいはずがあろうか。日が西より昇るような世の中になり、月が大地から出るような時であっても、仏のお言葉に虚言はないと定められている。
 これをもって推し量れば、亡くなられた慈父の聖霊は、教主釈尊の御前においでになり、檀那(南条時光殿)はまた、現世に大果報を招くことは疑いない――。
 大聖人の仰せのとおり、時光が大石寺の開創を外護し、また長命で堂々たる福徳の人生を勝ち取っていったことは、皆さまもよくご存じのとおりである。
 世界各国から集い来た青年部の皆さまもまた、その若き情熱で信仰に励みゆくとき、両親を最高に幸福にしながら、無限の福徳を積み重ねていけることは間違いない。
 十年、二十年、三十年の後に皆さまが、どれほど偉大なる、どれほど福徳に満ちた「広布のリーダー」「民衆のリーダー」「社会のリーダー」に育ちゆくことか。堂々と乱舞しゆく未来の雄姿に思いをはせつつ、皆さまのご健康、ご多幸を心よりお祈り申し上げ、私のスピーチとさせていただく。
 このあと、お別れの懇親会がもたれるとうかがった。日本での最後のタベを、どうか有意義に、ごゆっくりと過ごしていただきたい。ふたたびお会いできる日を心待ちにしている。それではお元気で!
 (創価文化会館)

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