Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第三十一回本部幹部会・第二回全国壮年部… ″平等″が世界宗教の魂

1990.7.24 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

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7  仏教の″原点″に返った大乗運動
 これと同様の方程式が、大乗仏教興隆の背景の一つにある。
 先ほど述べたように、クシャン朝では文化が栄え、経済も繁栄した。しかも、その豊かな社会の大王が仏教を保護したのである。仏教教団が豊かになることは当然であった。また、海外貿易に従事する多くの大富豪も、仏教に帰依していた。
 こうして、当時の仏教教団は、莫大な寄進を受け、たちまち大地主、大資本家に変身した。大寺院も数々つくられた。荘園(耕作者つき農園)をもち、金貸しをして、その利子を収入とするにいたった。
 これらの伝統的仏教教団のうち、とくに「説一切有部」は有名であり、もっとも栄えていた。彼らは、生活の心配もなく、アビダルマと呼ばれる、スコラ哲学(西洋中世の煩瑣哲学)的な研究を行っていた。釈尊が教えた、人生に希望をあたえゆく″人間学″としての仏教とは、まったく様相が変わってしまった。民衆から遊離し、直接の生きた交渉がないのである。硬直化し、独善的になるのは、ある意味で無理もなかった。
 この「説一切有部」に対する一種の宗教改革として、釈尊の精神の″原点″に返り、民衆の中で利他行を行う、新しい運動が起こってきた。ここに「大乗仏教」興隆の一因があるとされている。
 すなわち、釈尊の教えも、大乗仏教の運動も、″豊かさによる伝統教団の堕落″を打ち破るかたちで起こってきた――これが多くの学者の説である。
 ″人間は皆平等だ!″″人は行いしだいで、その尊さ、偉さが決まるのだ!″。
 この人間本然の勇気ある叫びが、民族を超え、文化の差を超えて、世界へと仏教が広まる根源的なパワーとなった。
 この「魂から魂へ」の真実の波動以外に、広宣流布の進展もない。権威や組織等の力のみで、正法が広まるのではない。
 ここに、大乗仏教の真髄たる日蓮大聖人の仏法の精神もある。創価学会の発展の要因もあった。他の既成教団が堕落の姿を示すなかにあって、学会だけは、″和合″にして″高潔″な仏法の精神を貫いてきたのである。(拍手)
 いよいよ本格的に始まった「世界広宣流布」を担うわれわれは、この精神を永久に忘れてはならない。(拍手)
8  最後に、毎日、暑い日が続くが、体に十分注意して健康であっていただきたい。決して無理をしないでいただきたい。いつまでも、ご長寿であっていただきたい。それ自体が広宣流布につながるからである。
 留守中は、秋谷会長を中心に、よろしくお願い申し上げたい。今日は暑いところ、ご多忙のところ、本当にご苦労さまでした。それでは行ってまいります。
 (創価文化会館)

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