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日蓮大聖人・池田大作

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第十二回全国婦人部幹部会 広宣に生きぬく楽しき人生を

1990.6.8 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

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18  「悪」に対しては賢明であれ
 一般的にも、話す人の容姿や言葉の美しさは、その人の話の「真偽」とは別問題である。言っていることが現実に証明されて初めて、″信頼″できるわけである。
 人をおとしいれ、欺くために、理に合ったような、たくみな言葉をとりつくろうものもある。ゆえに、調子のよい、たくみな言葉にだまされてはいけない。その言葉に、確かな裏付けがあるか、明白な証拠があるかどうかを、きちんと見きわめていかねばならない。
 何でも鵜呑みにして″信頼″してしまう無邪気なお人よしであっては、「悪」の勢力につけ込むスキをあたえてしまう。これは人間関係はもとより、社会活動や国家間の関係などにも通ずることである。
 このほど、スウェーデン生まれの平和学者シセラ・ボク女史が、私に、著作『平和への方策』を贈ってくださった(=同書は、大沢正道訳『戦争と平和』として法政大学出版局から邦訳・出版されている)。同女史はアメリカのブランダイス大学哲学科の教授で、彼女の父親は経済学者のグンナー・ミュルダール氏、母親は著名な平和運動家のアルバ・ミュルダール女史である。ミュルダール氏夫妻は、それぞれノーベル経済学賞、ノーベル平和賞を受賞されている。
 ボク女史は、この著書の中で、人間社会の繁栄には、確信に満ちた信頼と、用心深い不信とのバランスが大切であるとし、「過剰な信頼は収奪と虐待を招き、それ自体いのちを脅かすこととなる」と、盲目的な″信頼″の危険性を指摘している。人間と社会の現実を見すえた正論であろう。
 要するに、民衆は自身を抑圧する「悪」に対しては、疑い深く、賢明に戦っていかなくてはならない。愚かであっては、悪の勢力に支配され、食いものにされるだけである。
 虚偽や策謀を鋭く見破っていく「知恵」と「団結」――。これこそが、真の″民衆の時代″を開く要諦であると申し上げたい。(拍手)
 悪の虚偽を鋭く見ぬく″眼″――。熱原法難の渦中、大聖人は窪尼御前に与えられたお手紙で、こう明かされている。
 「あつわら熱原の事こんど今度をもつて・をぼしめせ・さきもそら事なり」――熱原のことは、今度のことからもおわかりになったでしょう。以前のことも偽りだったのです――。
 そして、「すへの人人の法華経の心にはあだめども・うへそしらば・いかんがと・をもひて・事にかづけて人をあだむほどに・かへりてさきざきのそら事のあらわれ候ぞ、これはそらみげうそ虚御教書と申す事はぬさきよりすいして候、さど佐渡の国にてもそらみげうそを三度までつくりて候しぞ」――守殿(北条時宗)の家臣たちが、心の中では法華経を敵と思っているけれども、あらわに迫害するのもどうかと思って、熱原の事にかこつけて大聖人門下に怨をなしたところ、かえって前の虚事が露見してしまったのです。私(日蓮大聖人)は、これが偽の御教書(幕府の執権等が出す命令書)だということは、それを見る前から推察していました。佐渡の国にいたときも、敵たちは偽の御教書を三度も作ったのです――と。
 大聖人は、熱原法難のさい、門下を迫害する根拠となった御教書がウソであることを見ぬかれていた。そして窪尼に、「そうした策謀にだまされてはいけません」と、教えられているのである。
 悪の″ウソ″を見ぬき、虚構のからくりをすべて見破っていくことが、″知恵の勝利″″信心の勝利″につながる。
 どうか婦人部の皆さまは、深き「信心の眼」で一切をとらえ、何が正で何が悪か、何が真実で何が虚偽かを、鋭く見ぬいていただきたい。そして誤りなき、信心と人生の道を進んでいかれるよう訴えておきたい。(拍手)
19  勝利と福運の道を共々に
 ところで、一昨日(六日)、私は皆さまを代表して、「トルコ・日本友好百周年記念金褒章」を受章した(拍手)。またそのさい、ぜひトルコ共和国へ、とのお話もいただいた。
 思えば、今から二十八年前の昭和三十七年(一九六二年)二月、私はトルコの地に第一歩をしるした。その折、″将来、今ここに来た青年たちを立派な日本の大指導者にして、またこの国を訪れたい″との思いで、同国を後にした。近い将来、必ず、ふたたびトルコ共和国を訪問したいと念願している。
 また、アフリカにも足を運びたい。一閻浮提といわれた全世界に歩みをしるすことになるからである。
 これからも私は、平和のため、人類の幸福のために、世界を駆けめぐっていく決意である。策謀や中傷があることは、御聖訓に照らし当然である。己の信念のままに、堂々と進みゆくのみである。それが戸田先生の弟子としての道と信ずるからである。(拍手)
 どうか、皆さま方も、私とともに、妙法広布への道を誇らかに進んでいただきたい。そして、三世永遠にわたる「勝利」と「福運」の軌道を歩んでいただきたい。(拍手)
 最後に、第二十回婦人部総会の成功を心から祈りつつ、青葉の輝く季節にお会いできた婦人部の皆さまに、次の和歌を贈り、私の記念のスピーチを終わらせていただく。
   偉大なる
     母の祈りは
       何ものも
   恐れなきかな
       日々を楽しめ
  
   にぎやかに
     また朗らかに
       婦人部は
   常楽我浄の
       行進うれしく
  
   広宣に
     生きぬく三世の
       家族なれば
   十方世界の
       諸仏も友かと
 (創価文化会館)

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