Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第二十九回本部幹部会 自らの前進そこに信仰はある

1990.5.23 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

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13  リーダーはまず誰より自らが前進
 本日は東京各区・圏のリーダーの皆さまが代表として参加されている。最後に、広布のリーダーの姿勢について申し上げておきたい。
 四条金吾に与えられた御書に、次の一節がある。
 「日蓮はわかきより今生のいのりなし只仏にならんとをもふ計りなり、されども殿の御事をば・ひまなく法華経・釈迦仏・日天に申すなり其の故は法華経の命を継ぐ人なればと思うなり
 ――日蓮には若い時から現世についての祈りはない。ただ仏になろうと思うだけである。けれども、あなた(四条金吾)のことはいつも法華経、釈尊、日天にお願いしている。それはあなたが法華経の命を継ぐ人であると思っているからである――。
 これはもちろん、御本仏の深い祈りについて示された御文である。
 もとより、凡夫に現実生活のさまざまな祈りがあるのは、当然であるかもしれない。それはそれとして、私どもは信心の根本の姿勢として″ただ仏にならんと思うばかりなり″との大聖人のお心を深く拝してまいりたい。大聖人は示同凡夫(仏が凡夫と同じ姿を示すこと)のお立場から、人生の真実の目的を教えてくださっているのである。
 そして大聖人は、御自身の現世の栄えは祈らないが、仏法の「命を継ぐ人」すなわち広宣流布に邁進する門下のことを、いつもいつも祈っていると述べられている。まことに御本仏の大慈大悲が拝されてならない。
 次元は異なるが、私どももまた、同じ祈りの姿勢でありたい。祈りは即行動となる。みずからが率先して歩き、語り、法を弘めゆくのはもちろんとして、弘教を行っている人、広布の活動に励む友を、どこまでも守り、大切にしていくのが、仏法のリーダーの最大の責務である。この尊い仏子なくして、正法を厳護し、広宣流布を進めることはできないからである。
 また、自分が「成仏しよう」という求道心と、「後輩(後継の人)を育てよう」という祈りは、一体であって別々のものではない。
 リーダー自身が信仰者として成長し、境涯を開いた分だけ、後輩も伸びる。「目標」をさして先頭の人が歩みを運べば、あとに続く人々も前へ進める。号令だけで、一歩も進まなければ、後ろの人がつかえてしまう。これは道理である。
 中心者は、まずだれよりも自分自身が進む。これが学会伝統の「指導主義」である。またそれは「人間主義」であり、自他ともに成長しゆく道である。″自分の信心の成長″と″後輩の成長″への常なる祈りによって、先輩も後輩もともに「仏」という永遠の幸福境涯への軌道を歩んでいけるのである。
 それを忘れた場合に、かけ声だけで人を動かそうという「組織主義」の悪弊におちいるのである。命令や伝達は「指導」ではない。口先や要領では、人の心は動かせない。
14  創立六十周年をめざしての躍動のなかで、関西、中部、九州をはじめ各方面とも見事に成長してきた。また海外でも、みずみずしい求道心と歓喜にあふれるメンバーが、立派に社会貢献の活躍をしている――今まさに広布の新しき時代を迎えているといってよい。
 そのなかにあって、東京の成長が、弱いように思えてならない。東京に対しては、地方や海外から来た人が、「もっと歓喜をあたえてもらいたい」「もっと求道の精神を教えてもらいたい」「もっと家族的なあたたかい交流をお願いしたい」と厳しく見ているのである。
 それはつまり、東京は厳しくいえば慢心で、歓喜と求道心が薄らいでしまったからといえまいか。あくまでも東京が、全日本、全世界の中心となっていかなければ、まったく意味がない。
 どうか東京の皆さまは、ふたたびみずみずしい信心の前進に立ち返って″広布の本陣″の見事な団結と勝利の歴史を開いていただきたい。そのために私自身も、また秋谷会長も、″わが東京″の一員として、全力の応援を惜しまぬ決心である。(拍手)
 幹部は「進まざるは退転」との戒めを銘記して、自身の″信心の停滞″とつねに戦わなければならない。そのためには、責任をもち、徹底して広布の現場を歩くことである。
 とくに婦人部の皆さまは、弘教に個人指導にと、日々懸命に活躍しておられる。どうか壮年の幹部は、けなげに戦っている同志を守りながら、率先して対話に励んでいくようお願いしたい。
 リーダーが臆病な組織は不幸である。皆さまは、真実の信仰者らしく堂々と、学会の指導者として大胆に指揮をとっていただきたい。無認識の批判や中傷に臆してはならない。御本尊に誓ったとおりに、この一生を「信心」で生きぬいていくべきである。その強き信念とあたたかな人格のもとに、地域の人々は安心して団結できるものだ。
 ともあれ、一般にも、「トップの器以上には組織は大きくならない」といわれる。広布の組織も、中心者で決まるといってよい。中心者がいかに力をつけ、境涯を開きに開いていけるか。簡単にみえて、これほどむずかしい課題はない。
 「信心」が″本″であり、「組織」は″述″である。「境涯」が″本″であり、「役職」は″述″である――学会リーダーの要件は、これが本当にわかっているかどうかなのである。
 真実の同志の絆は、家族以上に強いものである。どうか世界でもっとも美しくうるわしい″広布の家族の組織″を、ともどもにつくつてまいりたい。(拍手)
 なお本日は、秋田、岩手、島根、愛媛でも記念の集いが開かれており、心から祝福したい。また海外十力国・地域から参加されたメンバーにも、本当にご苦労さまと申し上げます。
 訪中の間、日本をくれぐれもよろしく、とあらためてお願い申し上げ、大切な皆さまのいっそうのご活躍とご健康を祈り、私のスピーチを結びたい。
 (創価文化会館)

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