Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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SGI親善代表者会 信念の闘争に屈服はない

1990.3.30 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

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14  日本の近代化に多大な貢献
 グラスゴー大学と日本の関係は深く、明治の初期にさかのぼる。当時の日本は、「東洋のイギリス」を合言葉にして近代化・工業化を進めていた。先ほども述べたように、イギリスでは、イングランドよりも辺境のスコットランドで工業化が進んでいた。
 そのスコットランドから、グラスゴー大学出身の若き技術者ヘンリー・ダイアーが来日。彼は西欧の制度を参考にしつつ、イギリスにも例をみない実験的な大学をつくった。それがわが国の工業教育の中心となる工部大学校(帝大工科大学、東京大学の副身)の誕生である。工部大学校の卒業生のなかには、さらにグラスゴー大学に留学して学問と実践を高めようとする者が続出した。
 タカジアスターゼの創製で有名な高峰譲吉は、その第一回の留学生である。その後、グラスゴー大学には、工部大学校の政府留学生や、旧幕臣出身の海軍関係者、さらに明治の指導者の子弟(福沢諭吉の三男、大久保利通の三男、岩崎弥太郎の次男)など、留学生の顔ぶれはきわめて多彩である。
 スコットランドの実学主義、エンジニア思想は、明治期の日本に導入され、日本の産業の発達に大きく影響をおよぼした。その直接の導入者がグラスゴー大学の教授たちなどであった。
 江戸時代の日本は、士・農・工・商という厳しい身分差別で社会体制を維持しており、基本的には職人たちは低い立場のものとされていた。
 ″お雇い教師″といわれたスコットランド人の教授たちは、近代科学の技術とともに、古き思想を打ち破り、新時代の夜明けを開いた思想の息吹をもたらした。その意味から、グラスゴー大学は、日本の近代化のうえで大きな恩人の存在といえる。
15  こうして、グラスゴー大学は、各国の産業発展の推進力となった。
 大学の使命――それは、権威の人を出すことではない。実力の人、知性の人、そして民衆に奉仕する信念の人を輩出することにある。
 次の時代を担う人間を育て、社会に、世界に送り出すことができるか否か。それは、時代の命運を決する″勝負″ともいえる。
 イギリスの産業革命に、また日本の工業化に貢献してきたグラスゴー大学の歴史は、一つの厳たる勝利の歩みといえよう。
16  「人権」守る青年の行動に期待
 ″知性の人をつくりたい″″力ある人を育てたい″――これが、私の切なる願いである。そのために毎日、真剣勝負の心で語っている。
 英知がなければ、権威・権力の悪も見破れない。人にも尊敬されない。自分も確かな軌道を進めない。広宣流布という勝利を得ることもできない。
 皆さまは、各国の新しい時代を開きゆく大切な方々である。その使命を果たすために、ありとあらゆる人生の課題に挑戦し、勉強しぬいていただきたい。そして率先して知性と人格を磨いていっていただきたい。(拍手)
 世間には、たくさんの名誉の勲章がある。しかし、正しき「信心」こそが、三世永劫にわたる″生命の勲章″である。
 私にとって、皆さま方ほど大切な存在はない。皆さま方に尽くしきっていくことが、私のすべてだと思っている。どうか、お体を大切に。皆さまが、すばらしき人生を、はつらつと生きぬいていかれることを心から念願し、本日のスピーチとさせていただく。
 (創価大学)

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